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50年前から分かっていた少子高齢化問題、なぜ回避できなかったのかスピン経済の歩き方(4/5 ページ)

「敬老の日」の昨日、この国の「敬老」の意味をあらためて考えさせられるニュースがあった。65歳以上の高齢者は約3588万人で、全人口に占める割合は28.4%と過去最高となり、これは同じく高齢化が進むイタリアの23%を大きく引き離し、世界一となっているというのだ。

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「世界一の少子高齢化」を招いた原因

 このように人口減少に対して「賃金を上げる」という最も効果的な施策から硬くなに目をそらして、「人が減ったらとにかく頭数を増やせばいい」と安易な施策を50年間続けてきた結果が、現在のような「世界一の少子高齢化社会」なのだ。

 では、我々はいつからこのしょうもない「思い込み」にとらわれているのか。いろいろな意見があるだろうが、やはり以下のような、戦前の「産めよ増やせよ」という国民教育が尾を引いているのではないかと思う。

 「戦争とお産 人口減少が恐ろしい 古代ローマは如何にして亡びたか」(読売新聞 1937年8月18日)

 ここでは人口減少が国家の滅亡に通じるとして、日本の人口の自然増加数も減ってきている事実を「一般の婦人の方々はよく知られる必要はないでせうか」と締められている。この「人が減ったらとにかく頭数を増やせばいい」という思想が、戦後のおじさんたちにも脈々と受け継がれているのは、脂ギッシュな政治家たちが「子どもを産む機械」とか口走ったり、「早く子どもを産め」なんて女性議員にヤジを飛ばしたりすることからも明らかだ。

 こういう思考回路なので、日本が直面する人口減少の解決策も、まるでコピペしたように戦前と変わらぬ解決策が出てくる。

 第二次世界大戦が勃発した1939年、生産性向上を掲げる日本では現代のように「人手不足」が叫ばれていた。特に深刻なのが、炭鉱だった。3K労働の極みなのであまりに若者の人気がないので知り合いを通じて働き手を探す縁故募集が主流だったが、そのあまりの強引ぶりに「往々にして誘拐募集といふが如き非難を受けた」(読売新聞 1939年5月22日)というほどだった。

 そこで見かねた国が、縁故募集を禁止して国営職業紹介所を通じて募集をするということになったのだが、鉱山事業者側は「正面的募集によつて動員することは困難」「余剰労働力は今や枯渇している」(同紙)と反発し、当時の石炭鉱業組合会常務理事が人手不足を解決する切り札として、政府にこんな要請をしている。

 それは、「半島労働力と女子就役の復活」(同紙)である。

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