手抜き?手作り? 「罪悪感なく簡単に」 イオンが増税にらみミールキット拡充:最速10分で(1/2 ページ)
イオンが水も油も食材もいらないミールキット商品を拡充。長期保存が可能で買い置きができる「フローズン」メニューを6品新発売する。3分30秒のレンジ加熱と、さっと炒めるだけで簡単に調理ができる。背景には消費増税や、共働き世帯の増加などがある。
イオンが消費増税を見据え、「時短」で調理できる商品の展開を拡大する。9月18日に開催した「イオン増税前内食向け新商品発表会」で商品のラインアップが公開された。
今回拡充するのは「トップバリュ フローズンCooKit」(以下、「クッキット」)。「最速10分で出来上がり」とうたい、水や油、調味料、そして食材の準備が不要な「オールインワン」(イオントップバリュの和田浩二マーケティング本部長)のミールキットだ。レンジで3分30秒加熱するだけの「下ごしらえ」をした後、フライパンで炒めるだけで料理が完成する。
フローズンクッキットは、4月に6商品を発売。9月18日に第2弾として6商品を新たに展開する。発売以来、「冷凍庫にストックできて便利」「簡単だし味も本格的だ」との反響があるという。最も人気なのは「黒酢酢豚」(税別798円、以下同)とのこと。第1弾では肉料理しかなかったが、第2弾は「魚料理も食べたい」「洋風の味付けもほしい」という声に応えたラインアップとなった。また、卵の準備が不要な「親子煮」(798円)といったメニューも展開する。
もともと、クッキットは18年3月にチルド商品として発売。どの商品も2人前で、「手作りをしたいけど時間も気力もない」「冷凍食品や総菜だと罪悪感を感じる」というニーズや共働き世帯の増加などを背景に、人気が拡大している。
順調な一方、チルドクッキットには課題があった。それは「保存期間」だ。チルド商品であるため、長期間の保存ができない。したがって、「買い置き」の需要をすくい取ることができなかった。加えて、食品ロスの問題もあり、店頭での思い切った商品展開も難しい。こうした事情から、フローズンクッキットが登場した。
狙い通り、フローズンクッキットは、土曜日と日曜日に多く購入されている傾向がある。チルドは各曜日、13.0〜16.3%の間で推移しているが、フローズンは土曜が19.9%、日曜が21.9%。また、チルドは300店舗ほどでの展開なのに対し、フローズンはイオンが展開するほとんど全てのスーパーで販売する。店舗数は1800ほどを数える。一方で、予想外の結果もあった。当初狙っていた30〜40代だけでなく、フローズンでは60代以上の購入も多かったという。「さらに拡大の機会があるんだな」(同本部長)と考え、今後はオーガニック食材を使ったメニューなども検討している。
今回の発表会では、調理の実演も行われた。新発売の親子煮を調理。調理のレクチャーなどを行いながらも10分30秒ほどで完成。使うものはフライパンくらいで、洗い物も少なくて済む。肉も既に切れているので、衛生的にも安心だ。
関連記事
- 「レシート」116万枚からスーパーを分析 何が見えてきた?
3年連続でマイナス成長のスーパー業界。コンサルティングや人材派遣を手掛けるソフトブレーン・フィールドがレシート約116万枚から売り上げ状況を分析。首都圏以外では、地元スーパーの検討が目立った。大手チェーンでは、オーケーが強さを見せた。 - 消費増税後、「スーパー業界の勝ち組像」はどう変化する?
実施まで1カ月を切った消費増税――。過去の増税時にスーパー業界では何が起こったのかを振り返りつつ、今後も生き残るためのポイントを探った。 - Uber Eatsで日用品など配達 8月29日から都内ローソン4店舗で実証実験
ローソンがUber Eatsに参入する。8月29日から都内4店舗で実証実験開始。食べ物だけでなく、日用品なども対象。過去に同様の宅配サービス「ローソン フレッシュ」を行うも18年にサービス終了している。 - 「法令に従ってやっている」 結局変わらぬ値引き合戦 KDDIはソフトバンク追従 総務省は静観?
KDDIが9月12日、新料金プランなどを発表。従来の「アップグレードプログラムEX」を他キャリアのユーザーも利用できるように変更。ソフトバンクのサービスを追従する形となった。NTTドコモも同様のサービスを展開しているが、各社ともSIMロックに制約がある。政府は「通信と端末の分離」を進めるが…… - 恵方巻の廃棄率は? イオンの担当者に聞いてみた
コンビニやスーパーで恵方巻商戦が本格化している。イオンリテールでは恵方巻の販売量が右肩上がりで増えている。近年、食品ロスの観点から批判されている恵方巻の廃棄率はどのくらいなのだろうか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.