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カローラ・セダン/ワゴンが意味するもの池田直渡「週刊モータージャーナル」(4/5 ページ)

最量販車種の座をプリウスに奪われ、ファミリーカーの本流の座はノア/ボクシーに奪われた。気がつくとカローラは「年寄り向けの地味なクルマ」でしかなくなっていた。さらに世界各国で販売されるカローラは、地域によって求められるキャラクターが異なる。「スポーツ」「高級」「取り回し」の3つを同時にかなえるクルマを目指さなければいけない宿命を持ったカローラ。TNGAでハード的には対応を進めたが、問題は「自分のものにしたい」と思わせるキャラクターが立っているかどうかだ。

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3つのメインディッシュ

 トヨタの説明によれば、世界各国で販売されるカローラは、地域によって求められるキャラクターが異なる。欧州では「スポーツ」、アジアでは「高級」、そして日本では「コンパクトな取り回しの良さ」が求められるという。

 確かにCセグメントという商品特性を考えれば、競合車も同じような条件が求められだろうが、販売台数が台数だけに、カローラでは少し事情が違う。

 求められる3つの要素には普通はプライオリティが付く。しかしカローラはその3つ全てがメインディッシュになっていなければならない。そんな無茶な要求を同時に求められ、それに真面目に対応するクルマはそう多くない。

 だからカローラとは何か? と問われたら「スポーツ」「高級」「取り回し」の3つを同時にかなえるクルマだといえるだろう。それこそがカローラであり、同時にカローラの難しさでもある。

 ここでTNGAがその本領を発揮する。例えばトレッドとホイールベースというクルマの基本を決めるディメンジョンすら、日本仕様だけコンパクトな数値が与えられる。TNGAでは、あらかじめ変動する部分を織り込んで設計を行い。同時に絶対に変えない部分を決める。それはつまり最初から仕様の詳細をバリエーションまで含めて折り込み、どのバリエーションでも最適になるように設計することだ。


ワゴンタイプのカローラ・ツーリング

 ただ、ハードとしての変化対応はそれでまかなえても、ソフトとしてのキャラクターがそれで解決するかといわれると、そこはまた別問題だ。

 例えば、かつてのカローラは「いつかはクラウン」というトヨタワールドの途中の1ステップだった。車格によって階層化され、割り振られた全体図の魅力でトヨタワールドの一断面としてカローラを見せることができた。しかしとうの昔に「いつかはクラウン」という時代は終わっている。

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