子どもの数は減っているのに、なぜ「恐竜博」で110分待ちになるのか:水曜インタビュー劇場(絶滅公演)(5/6 ページ)
国立科学博物館で開催されている「恐竜博2019」が、人気を集めている。9月の3連休には、最大110分待ちのときも。子どもの数は減っているのに、なぜ恐竜を見るために行列ができるのか。恐竜博の監修を務めている真鍋真さんに話を聞いた。
僕のキャリアは浅い
土肥: 最後に、真鍋さんはどういったきっかけで、恐竜に興味をもったのかを教えてください。やはり、子どものころに展覧会に足を運んで、そこで化石を見てびっくりした。そこから、恐竜博士の道が始まったとか?
真鍋: 「子どものころからの夢がかなって、よかったですね」「ずっと研究をしていて、うらやましいですね」といった感じで、恐竜好きの少年がそのまま大人になったと思われたかもしれませんが、実は違う。僕は東京生まれの東京育ちだったこともあって、子どものころに恐竜の化石を探しに行ったことはありません。
土肥: えっ、じゃあ、どんな少年時代を送っていたのですか? 昆虫少年とか、宇宙少年とか。
真鍋: 特になかったですね。だらだらと学校に行っていただけ(笑)。蒸気機関車がどんどんなくなっていた時代だったので、機関車を見るために地方へ行くことがありました。そのことが楽しくて楽しくて、地方へ行くにはどんな仕事をすればいいのかと考えたときに、「地理とか地学の先生になれば、いろんなところに行くことができるのではないか」と思いついたんですよね。というわけで、大学で地学科を専攻しました。
地質や地層を勉強していると、化石の話が出てきました。化石によって何億年前の恐竜のことが分かってくると、そこに興味をもつようになって、少しかじってみることに。そんなこんなで今日にいたる、ですね。恐竜を研究している人たちの話を聞いていると、子どものころから興味をもっているケースが多い。「中学生のころには化石を探していました」といった話をよく聞くので、そう考えると、僕のキャリアは浅いんですよ。
土肥: 恐竜界の大御所なのに、「キャリアが浅い」って(笑)。
真鍋: 子どものころに何かに興味をもって、それを一生の仕事にすることはとてもいいこと。ただ、高校生になっても、大学生になっても、「将来、こうした仕事をしたいなあ」といった考えをもっていない人もいますよね。僕もそのひとりでした。ただ少々遅れても、興味をもてることに出会うことができれば、そこから始まることもあると思うんですよね。
夢がなくても焦らなくていい。なんとかなるものだ――。そうした事例に、僕の人生を使っていただければ、うれしいですね。
(終わり)
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