子どもの数は減っているのに、なぜ「恐竜博」で110分待ちになるのか:水曜インタビュー劇場(絶滅公演)(4/6 ページ)
国立科学博物館で開催されている「恐竜博2019」が、人気を集めている。9月の3連休には、最大110分待ちのときも。子どもの数は減っているのに、なぜ恐竜を見るために行列ができるのか。恐竜博の監修を務めている真鍋真さんに話を聞いた。
日本で恐竜の展覧会が人気
土肥: 恐竜の展覧会って毎年、どこかでやっているなあという印象があるのですが、日本人はこんな恐竜を好むとか、海外との違いとかってありますか?
真鍋: 子どもが恐竜を好むのは、世界共通だと思うんです。では日本の特徴は何かというと、たくさんの大人が興味をもっていること。もちろん、海外でも恐竜ファンはたくさんいますが、展覧会を開いて入場者がこれほどの数になるのは、日本だけ。
なぜ多くの人が恐竜に興味をもっているのか。いくつかの理由があるかと思うのですが、ひとつに「マスコミ」の影響があると思っているんですよね。これまでになかった恐竜の化石が発見されると、テレビ、新聞、雑誌、Webなどのメディアが報じますよね。新聞の科学面などで、「新しい恐竜の化石が発見された。恐竜時代はこうなって〜〜」といった感じで報じることが多いかと思うのですが、米国の場合は違う。例えば、ニューヨーク・タイムズの場合、ものすごく深堀りして、報じているんですよね。
日本のメディアは、多くの人が理解できるように全体が俯瞰(ふかん)できるような感じて紹介することが多いのですが、米国では深掘りしていることもあって、恐竜に詳しくない人は「難しいなあ」と感じるはず。このように報道の違いによって、日本では多くの大人が興味をもっているのではないでしょうか。
土肥: ということは、展覧会を開く際に「大人はここに興味をもってくれるかな?」「やっぱり、子どもにここは外せない」といった感じで、ターゲットを絞りにくいのでは? 老若男女に楽しんでもらわなければいけないので、企画を考える側にとっては難しい作業が発生しますね。
真鍋: 海外の展覧会を見ると、子どもをメインターゲットにしているケースが多いんですよね。日本の場合、それではいけません。幅広い年齢層の人が来るので、みなさんに「おもしろいなあ」「すごいなあ」と感じてもらえるような見せ方にしなければいけません。
ただ、先ほどもお伝えしたように、講演をした際には、子どもだけでなく、おじいちゃんからも質問がある。同じ場所でも、さまざまな人たちが話を聞くことができるので、同じ標本を見ても、同じ解説を読んでも、楽しんでもらえる。恐竜の場合、共通の話題にしやすいので、それほどターゲットを絞らなくてもいいのかなあと思っています。
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