子どもの数は減っているのに、なぜ「恐竜博」で110分待ちになるのか:水曜インタビュー劇場(絶滅公演)(3/6 ページ)
国立科学博物館で開催されている「恐竜博2019」が、人気を集めている。9月の3連休には、最大110分待ちのときも。子どもの数は減っているのに、なぜ恐竜を見るために行列ができるのか。恐竜博の監修を務めている真鍋真さんに話を聞いた。
たくさんの人が来館する背景
土肥: アクリル板の台は、確かに美しい。ただ、それが決め手のひとつになったのは、ちょっと意外ですね。恐竜を研究している人たちって気難しそうというか、怖そうなイメージがあるのですが、とても人間的というかなんというか(注:真鍋さんは気さくで、とても話をしやすい)。
それにしても展覧会には、たくさんの人が来ていますよね。子どもの数は減少しているのに、なぜこんなにたくさんの人が来館しているのでしょうか?
真鍋: さまざまな理由があるかと思うのですが、そのひとつに恐竜の情報が増えてきたことがあると思うんですよね。展覧会だけでなく、図鑑、本、テレビ、新聞などで紹介されることが増えてきたので、みなさんの予備知識もどんどん高くなっている。
その昔、恐竜はどのようなイメージで語られていたのか。カラダが大きくて、環境変化に対して適応力がない。だから、絶滅したんだと言われていましたが、いまは違う。俊敏で、スタミナもあって、一部は鳥になって、いまも進化を続けていることが分かってきました。
また、その昔、恐竜は爬虫類(はちゅうるい)の仲間ではないかという説がありました。爬虫類の場合、基本的に卵を産んでも、世話をしません。では、恐竜の場合はどうなのか。卵を産んで、ひなが早くふ化するように、自分の体で温めていたことも明らかに。そうした行動って、爬虫類ではなくて、鳥類に近いんですよね。
このように新しいことが分かってくるたびに、ニュースとして報じられる。いろいろなことが分かってきたことで、より生き物としてのイメージがわいてきたのではないでしょうか。結果、恐竜に関心をもつ人が増えてきたのかもしれません。
土肥: 恐竜の骨を見ることができるとなれば、子どもたちが多いのかなあと思っていたら、意外に大人が多い。子どもたちの親だけでなく、大人だけで来ていたり、お年寄りだけで来ていたり。
真鍋: 少子化の影響で子どもの数は減っていますが、恐竜博に来ている子どもたちの数は増えています。昔に比べて、家族と出かける機会が増えているのかもしれませんが、親も恐竜に興味をもっている。「自分たちが子どものころに教えてもらったことと違うね」といった感じで。いや、親だけでなく、おじいちゃんやおばあちゃんも同じことを思っている。「自分たちが子どものころに教えてもらったことと違うね」と。
講演会やイベントなどで恐竜の話をする機会があるのですが、そうした場では、子どもだけでなく、お父さん・お母さんも、おじいちゃん・おばあちゃんも身を乗り出して話を聞いてくれるんです。「あれ? いまはこうなっているの?」といった感じで、どの世代でも興味をもつことができる。「恐竜」というコンテンツの強みは、ここにあるのかなあと。
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