「買うだけ」にストップ メルカリが封筒や段ボール発売 新規ユーザー獲得に前のめり:セブン‐イレブンとタッグ(1/2 ページ)
メルカリが10月3日、セブン‐イレブンでオリジナル資材を発売する。背景には、ユーザー拡大の狙いがある。メルカリでは、「買うだけ」のユーザーが圧倒的に多いという。また、シニア向けの教室を開くなど、新規ユーザーの獲得に向けて幅広い施策を展開している。
メルカリは10月3日、オリジナルの梱包資材を全国のセブン‐イレブンで発売した。「ネコポス用段ボール」(66円、税込、以下同)や「クッション封筒」(2枚入り130円)など4種類。メルカリは「らくらくメルカリ便」を2018年4月末からセブン‐イレブンで開始している。同サービスは、宛て名書きなどが不要で対象店舗から簡単に商品を発送できるサービス。オリジナルの梱包資材を販売することで、利用促進を図る。
梱包資材を発売する背景には、新規ユーザーの獲得という狙いがある。担当者によると、現在のメルカリユーザーは1400万人ほどで、流通総額は6000億円にも上るという。一方で、まだまだユーザーや流通額を増やせると考えている。そこでハードルとなるのが「発送」だ。
担当者の感覚では、購入はするが出品をしないユーザーは「圧倒的に多い」。同社が出品未経験のユーザーに対して行ったアンケートでは、「出品しない理由」として最も多かったのが「梱包・発送作業が大変そうだから」というものだった。「(発送方法・梱包資材入手・梱包・送料の全ての軸で)どうしたらいいかよくわからない」という意見も多かったという。
これまで、梱包には段ボールなどを工作して箱を自作する人が多かった。そこで、自社オリジナルの資材を提供することで発送の手間を簡略化したい考えだ。
メルカリの担当者によると、商品の発送は朝の時間帯が多いという。通勤時にコンビニに立ち寄り発送するようなケースだ。その一方で、商品が昼間に売れた場合には帰宅してからでないと発送ができない。コンビニで資材を提供することで、売れたその日に発送することが可能になる。
セブン‐イレブン側にもメリットがある。らくらくメルカリ便はサービス開始時と比べると、1日当たりの利用者数が3倍ほどに伸長。資材の販売で、さらなる客足の増加を狙うとともに、「ついで買い」の誘発も期待している。また、これまでヤマト運輸の資材を扱っていたが、目立っていなかった。メルカリの資材は売り場で広く展開し、「面」を作って販売することで目立たせる。梱包から発送までを提供する「ワンストップショッピング」(担当者)を強化する狙いだ。
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