業績不振のライトオン 19年8月期は下方修正した計画をさらに下回る着地に:今期は黒字化が必達目標
業績不振で当初計画を下方修正していたライトオン。19年8月期決算は、修正計画をも下回る着地に。今後は「選択と集中」で、安売りから脱して品質を武器に勝負していく。
アパレル大手のライトオン(東京都渋谷区)は10月9日、2019年8月期の決算説明会を開催した。業績不振を受けて5月に業績目標を下方修正していたが、売上高などの項目では修正計画をさらに下回る業績で着地した。
登壇した川崎純平社長によると、同社は「遠出せずに近場でブランド商品を購入できる」便利さを武器に成長してきた。しかし、昨今は激しい価格競争やECの成長を背景に、苦戦を続けている。また、売れ残った商品の在庫がかさむことで販売管理費が大きなコストとなってきた。
各項目を見てみると、売上高は前期比3.7%減の739億6000万円。当初計画の800億円を大きく下回った。営業損益も21億7500万円の赤字で着地。18年8月期には黒字化を達成したが、2年ぶりに赤字となっている。「在庫数を圧縮するために、値下げして販売したことによるロスも大きかった」と川崎氏は話した。また、前期の決算発表時に掲げ、価格訴求から価値訴求モデルへの変革を狙う「ジーンズセレクトショップ」という新コンセプトが不徹底だったことも理由に挙げた。今後は同社の得意とする「アメカジ」ファッションの特徴である、「長く着られて、頑丈」を打ち出したプライベートブランド商品を強化。開発商品の数も絞り込み、こだわり抜いた商品を展開することで、よりジーンズセレクトショップらしさを徹底していく。
一方で、光明も見えている。「期末在庫原価」は前期の145億8700万円から大きく改善し、17.3%減の120億6900万円まで圧縮。大量の在庫を抱えないことで、安売りに走ることなく、利益重視の戦略に舵を切りたい考えだ。設備投資額など「これまで当たり前に使ってしまっていた」(川崎氏)項目も1つ1つ見直していくことで、「選択と集中」を図る。
20年8月期以降のビジョンについては「長期的戦略」を掲げた。これまでは「売り上げ向上」を目指しては利益を出せず、逆に「利益向上」を目指しては売り上げが立たず、一進一退の業績を続けていた。今後はビジネス構造そのものを変革し、プライベートブランド商品の品質向上や販売管理費の圧縮を柱に据える。中期経営計画に盛り込んでいる「経常利益率6%」を視野に入れ、今期は黒字化を必達目標に掲げた。
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