コラム
ドトール、休日減らして「有給奨励日」に 有給取得の“水増し”に厚生労働省「望ましくない」:4月から有給取得義務化(2/2 ページ)
4月から企業に義務付けられた従業員の有給取得。年間10日以上付与されている人について、5日以上取得させる必要がある。こうした中で、ドトールコーヒーがもともと休日だった日を出勤日にした上で「有給奨励日」に。理由については「改元などで祝日が多くなり、調整する必要が生じた」とコメントしている。働き方改革に逆行する取り組みを、厚生労働省はどう受け止めているのか?
厚生労働省は「望ましくない」
こうしたケースを、厚生労働省はどう受け止めているのか。
同省の担当者は、「まず、就業規則の変更については労働者の同意が必要」とコメント。労働組合の同意や、従業員の過半数を代表する者の合意が必要とされ、ドトールのケースでは問題ない。
一方で、「法定休日以外を『労働日』という扱いにして有給を取得させるのは望ましくない」(担当者)。手続き上の違法性はないが、内容については問題あり、とのスタンスだ。使用者と労働者間の契約に関しては、08年に施行された「労働契約法」がある。厚生労働省は、同法の周知のためにリーフレットを作成。文中では、就業規則変更に際して「労働者の受ける不利益の程度」を勘案する必要があると説明している。出勤日を増やして有給休暇を取得させるのは、この「不利益」に該当する恐れがある。
こうした事例については、労働基準監督署などを通じて既に何件か認知しているという。しかし、手続き上の問題はなく、明白な違法性があるともいえない。不利益性については最終的に司法の判断を仰ぐ必要もある。通報等があっても、個別の判断には時間がかかるため対応策に苦労しているようだ。当座の対策としては、リーフレットなどを発行し、制度の趣旨を周知させていくという。
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