【後編】なぜ食べログは公正取引委員会の調査を受けたのか?:専門家のイロメガネ(4/4 ページ)
口コミサイトでありながら、広告を取るという、食べログのビジネスモデルは矛盾している。筆者は、食べログのユーザーレビュー操作については推定無罪というスタンスだが、それでも炎上が続く原因として、矛盾だらけの代理店の取り扱いがある。
なぜ食べログはトラブルを放置するのか
今回の騒動を受けて食べログは、広告料と引き換えに星を操作することはないと、改めてネット上に多数あるオーナーの批判的な書き込みを真っ向から否定した。運営元のカカクコムも同様のプレスリリースを出している(10月8日の記事参照)
食べログの言い分が正しいのであれば、根本的な信用にかかわる部分で深刻な「行き違い」が店舗との間に発生しているか、そうでなければ食べログを貶(おとし)めたい自称オーナーが「悪質なウソ」をTwitter上でまき散らしていることになる(あるいは食べログや代理店を名乗るウソツキがオーナーをだましているというケースも考え得る)。
仮にSNS上の書き込みが全てウソならば、食べログはTwitterに発信者開示請求を行いウソを書き込んだ人物の身元を特定し、営業妨害で訴えるべきだ。株主から会社を預かって経営している経営陣には、企業価値を毀損するデマには速やかに対応する義務がある。しかし、食べログがこれら多数の書き込みについて、訴訟や削除の警告を行ったという話は過去に聞いたことがない。
何年も前からくすぶり続けて幾度となく炎上している状況でありながら、それらの声を放置することが上場企業のガバナンスとして問題はないのか。両者の極端に解離した言い分がこれだけ長期に渡って併存している状況はあまりに異常だ。
そしてこの問題の解決に動くべきは、当然のことながら飲食店オーナーではなく食べログだ。飲食店の情報を勝手に使うことで食わせてもらっているのだから当然だ。
公正取引委員会が調査に乗り出した以上、これまでのような真相は藪(やぶ)の中、どっちの言い分が正しいのかよく分からない……という状況が続くことはないだろう。日本最大の飲食店口コミサイトの行方がどうなるのか、今後も注目される。
執筆者 中嶋よしふみ
保険を売らず有料相談を提供するファイナンシャルプランナー。住宅を中心に保険・投資・家計のトータルレッスンを提供。対面で行う共働き夫婦向けのアドバイスを得意とする。「損得よりリスク」が口癖。日経DUAL、東洋経済等で執筆。雑誌、新聞、テレビの取材等も多数。著書に「住宅ローンのしあわせな借り方、返し方(日経BP)」。マネー・ビジネス・経済の専門家が集うメディア、シェアーズカフェ・オンライン編集長も務める。お金より料理が好きな79年生まれ。
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