【後編】なぜ食べログは公正取引委員会の調査を受けたのか?:専門家のイロメガネ(3/4 ページ)
口コミサイトでありながら、広告を取るという、食べログのビジネスモデルは矛盾している。筆者は、食べログのユーザーレビュー操作については推定無罪というスタンスだが、それでも炎上が続く原因として、矛盾だらけの代理店の取り扱いがある。
代理店では受付をしていないのに、代理店経由の新規会員登録は7割?
一方で、代理店各社のWebを見ると、堂々と「新規掲載専用受付窓口」や「掲載希望の方は連絡を」という案内があって、代理店でも堂々と新規会員登録を行っている。
もちろん、一般的なビジネスにおける「代理店」の仕事として、申し込みの仲介や代行をやっていてもおかしくはない。しかしそうであれば会員登録についてわざわざ「正規代理店では受付対応をしておりません」と食べログのWebで表記する必然性がない。代理店は新規会員登録を行っているのかいないのか(あるいは行っていいのかどうか)、Webの説明を読んでもまったく理解できない。
そして今年8月1日に行われたカカクコムの決算説明会では、食べログの広告営業について代理店の新規契約の割合が非常に大きいと説明している。
Q 直販営業を強化しているとのことであったが、そのインパクトが見えていない。進捗はどうか。
A 直販を強化しているが、数字上は見えづらいかと思う。現時点での有料プランの契約店舗数は代理店経由による割合が大きく、直販の貢献は全体の 3 割ぐらいであるが、おそらく今後1 年、2年、3年をかけて強化した結果を、現時点の数字と比べていただけると、だいぶ変わってくると思う。
※カカクコム 2020年3月期第1四半期決算説明会 主な質疑応答の要約
繰り返しになるが、新規会員登録は代理店では受けないとWebで明記する一方で、有料プランの直販は3割、残り7割は代理店経由だと決算説明会で説明されている。
筆者は業務で執筆指導をしているため、日本語能力は人並みにあるつもりだが、この説明の矛盾は理解できない。読めば読むほど自身がバカになったのかと心配になってしまう。
飲食店経営者ではない筆者は食べログの営業を受けたことはないが、この説明の矛盾や分かりにくさを見るだけでも、食べログが代理店をコントロールできているのか、広告営業が適正に行われているのか、極めて疑問に感じる。
つまり非会員の店舗(広告料を払っていないお店)に、食べログのあずかり知らないところで代理店がおかしな営業をかけている実態はないのか? そしてこれだけ多数の苦情が来ている時点で、代理店の状況やオーナーの苦情を、食べログは精査しなくていいのか? ということになる。
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