卸売会社の3代目社長は、なぜ「うんこ」へ舵を切ったのか:クラウドファンディングの達成率は500%超(2/5 ページ)
神奈川県にある「株式会社うんこ」をご存じだろうか。悪ふざけではなく、実際に存在する会社だ。Webサイトを見てみると、うんこスーツやうんこスニーカーなど、幅広いうんこグッズを販売している。5月に行ったクラウドファンディングでは、達成率が500%超。270万円ほどの資金が集まった。いったい、どんな会社なのか。
本社はプレハブ
再開発が進む南町田グランベリーパーク駅(東京都町田市)。ここから車で10分ほどのところにうんこのオフィスはある。オフィスといっても高層ビルの1室や持ちビルではなく、プレハブ。オンラインショップ「UNCO SHOP」を中心に販売しているうんこグッズなどの倉庫として普段は機能している。また、周辺には横浜総合卸センターがあり、一帯には卸売業を営む企業が多く存在する。
実は同社、建設現場で足を保護するために履かれる“安全靴”などの製造や卸売りを行う「株式会社のばのば」(横浜市)の関連会社なのだ。うんこ社長こと野畑氏はのばのばの3代目社長も務める。野畑氏によれば、本業である卸売業だけではなく、新たなジャンルに挑戦したいと考え、うんこに目を付けたという。
のばのばでは、売り上げの7割以上を履物が占めている。ほとんどが建築や建設現場で使われるものだ。以前からこうした一極集中のビジネスモデルに対して、ビジネスの幅を広げる必要性を感じ試行錯誤を重ねていた。
野畑氏によれば、「のばのばは安全靴を扱う会社としては老舗の方」。1990年に安全靴を発売してから、順調に自社商品の製造販売や卸売りで業績を伸ばしていた。しかし、安全靴市場にも変化は起こる。これまで「黒い重い革の靴」が中心だった市場に、デザイン面に優れた「安全スニーカー」と呼ばれる商品が登場。アシックスなどスポーツ靴メーカーが安全靴を販売するようになったのだ。
のばのばが以前に販売していた安全靴は3000円ほど。そこに数倍以上の価格で、機能性に優れた商品が続々と登場した。これにより「疲れにくい」や「痛くない」といった機能面に注目が集まることになったという。
こうした状況を踏まえ、のばのばではトレンドに即したアシックスの商品などの販売代理業務に注力。その結果、売り上げは大幅に伸びた。一方で、売り上げの4割ほどをアシックス商品に依存するようになってしまった。また、アシックス商品のヒットにより代理店も増加。代理店間による激しい価格競争が始まった。加えて、商品やチャネルが限定的になってしまうという課題も生じた。
作業用品を扱う競合を見渡すと、作業用品だけでなく、厨房用資材や不動産業にまで手を伸ばしている企業もある。また、作業用品を扱う店の大規模化が進む中、ホームセンターチェーンに卸すことも検討したが、配送にかかるコストや、販売手数料の面から断念した。このように、新たなジャンルに挑戦する必要性にのばのばは迫られていた。
関連記事
- なぜ、人々はうんこにひき付けられるのか うんこミュージアムの魅力に迫る
お台場にある「うんこミュージアムTOKYO」に行ってみた。場内はウンスタジェニックエリア、ウンタラクティブエリアなどに分かれる。一定時間ごとに「うんこ・ボルケーノ」が噴火すると、場内はうんこのシュプレヒコールであふれた。なお、場内にトイレはなく、うんこはできない。うんこにとことんこだわったミュージアムの裏側には「うんこのリーディングカンパニーになる」という熱い思いがあった。 - ローソンから真っ黒なLチキが登場 徐々に広がる「ブラックフード」 新たなブームに?
ローソンから真っ黒なLチキが登場。黒い色が特徴の「ブラックフード」が徐々に登場し始めている。過去にはバーガーキングが黒いハンバーガーを期間限定で発売したり、最近では「ブラックデー」という韓国発の記念日イベントも開催されたりしている。今後、新しいブームとなっていくのだろうか。 - ドトール、休日減らして「有給奨励日」に 有給取得の“水増し”に厚生労働省「望ましくない」
4月から企業に義務付けられた従業員の有給取得。年間10日以上付与されている人について、5日以上取得させる必要がある。こうした中で、ドトールコーヒーがもともと休日だった日を出勤日にした上で「有給奨励日」に。理由については「改元などで祝日が多くなり、調整する必要が生じた」とコメントしている。働き方改革に逆行する取り組みを、厚生労働省はどう受け止めているのか? - ミニストップ「おにぎり100円」がもたらした“意外な変化”
ミニストップが7月に始めた「おにぎり100円」施策。主力商品のおにぎりを最大30円値下げした。開始から3カ月がたち、効果はどれほど出ているのか。また、“100円”という値決めは成功なのか。狙いや現状について聞くと、意外な変化も見えてきた。 - 子どもの数は減っているのに、なぜ「恐竜博」で110分待ちになるのか
国立科学博物館で開催されている「恐竜博2019」が、人気を集めている。9月の3連休には、最大110分待ちのときも。子どもの数は減っているのに、なぜ恐竜を見るために行列ができるのか。恐竜博の監修を務めている真鍋真さんに話を聞いた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.