Amazonが偽造品対策のプログラム開始 楽天やヤフー、メルカリの取り組みは?:ヤフーはスパコン導入(3/3 ページ)
右肩上がりで成長を続けるEC業界。B2CのECは直近2018年におよそ18兆円の市場規模を誇る。前年比で8.96%の成長だ。物販分野に限ってみると9兆2992億円で、前年から7.45%の成長をしている。また、フリマアプリなどを含むC2CのECでは、6392億円で前年比32.2%と急成長。そんな中で、偽造品対策を各社はどう行っているのか
ヤフーはスパコン導入で検知精度が3.1倍に
ヤフーでは、18年11月からヤフオク!での偽造品対策にスーパーコンピューター「kukai」を用いている。kukaiの導入により「偽物出品検知AI」を実装した。その結果、出品が完了されてから数秒で偽造品である確率を判定できるようになる。高確率と判断された場合には、人手により削除の検討がなされる。
同社では05年から機械学習を用いた不正出品検知システムを導入するとともに、ユーザーからの通報などを絡めた「24時間365日パトロール」を実施していた。実際の出品情報50万件を基に、偽物出品検知AIで判定を行ったところ、従来のものと比較して検知精度が3.1倍に向上したという。また、これまで新たな検知モデルを構築するのに110時間ほどかかっていたところ、kukaiを使うことで1時間半に短縮できるようになった。
Yahoo!ショッピングでは、ストアの出店時やブランド品の取り扱い開始時において、審査を実施。これまでの事業実績や仕入れ先、正規品であることの具体的証明などを、外部機関と連携して厳しくチェックしている。
メルカリでは、16年に「ブランド対策専門チーム」を結成。独自に分析した“怪しい”キーワードを分析し、監視するシステムなどを構築しているという。偽造品が多いジャンルを担当者に聞いたところ、「出品数が多いカテゴリーでもあることから、ファッション関連商品が多い印象」と回答した。偽造品を出品したユーザーに対しては、取り引きのキャンセルや商品の削除、アカウントの利用停止などの措置を取っているという。
18年に出された、インターネット知的財産権侵害品流通防止協議会の報告書では、8つのプラットフォームにおける偽造品の出現状況を分析。オークションサービスで17年度に偽造品が出品された割合は0.08%。15年は2.33%、16年は0.32%だったので徐々に減少している傾向にある。一方、フリマサービスでは17年度に41.22%の出現率だった。プラットフォーム別に見ると、直近3年間の偽造品出品率が平均10%を超えていたグループに属するサービスで高止まりしている傾向にあったようだ。裏を返せば、もともと偽造品の割合が低いサービスは、継続して対策をできていることになる。ユーザーは商品だけでなく、サービスに対しても目を凝らす必要がありそうだ。
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