その価格、妥当ですか? ユーザーが事後的に値段を付ける「あと値決め」はプライシングをどう変えるか:上げるか下げるか「値決め」最前線(1/4 ページ)
利用や使用後にユーザーが価格を決める「あと値決め」。決済サービスを手掛けるネットプロテクションズが8月にサービスを開始した。誕生の背景には、多くの企業が「何となく」価格を決めている現状がある。客観性の乏しい商品やサービスの価格を、あと値決めはどう変えていくのか
上げるか下げるか「値決め」最前線
消費増税で「価格」への注目度が高まっている。原材料費高騰や人手不足などの課題が山積する中、値決めは経営を左右する重要な要素。技術革新によって、需給に応じた変動価格を新たに導入する業界も増えている。値決めの最新事情とは?
連載第1回:なぜ赤字でも安売りするのか? 「失敗する値決め」と「成功する値決め」の違いに迫る
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企業の戦略決定の上で最重要項目といえる「値決め」。各企業では、1つの商品について1円単位で価格をどうするのかに悩んでいるところも多いのではないだろうか。
さまざまな議論を巻き起こすこの値決めについて、「プライステック」と呼ばれる分野が活況を帯び始めている。決済サービスを手掛けるネットプロテクションズ(千代田区)とプライシング事業を手掛ける空(同)が発表した「PriceTech業界カオスマップ」によると、大まかに3つの分野に分けることができる。
1つが「ダイナミックプライシング」と呼ばれる、需要供給分析などに基づいた価格の最適化テクノロジーだ。2つ目が、「プレプライシング」と呼ばれる、定価がなく、オークションや交渉などを通して価格を決定する仕組み。3つ目が、商品を購入したりサービスを利用したりした後に価格を決定する「ポストプライシング」だ。
3つ目のポストプライシングにおいて、8月に登場したのがネットプロテクションズの手掛ける「あと値決め」だ。サービス名そのまま、買ったり利用したり体験したり、対価を払う物事に対して事後的に価格をユーザーが決定する。企業は最低価格を決定するだけで、後はユーザーが評価し、それに基づいて価格を決定する。中には最低価格を「0円」にしている企業もあるというから驚きだ。
ネットプロテクションズの発表によると、利用している企業は現在10数社ほど。サービス開始以降、どんな反響があり、どんな効果があったのか。ネットプロテクションズの担当者に取材した。
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