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職場で見過ごされる“心の暴力” 教員暴行事件に見る、オトナ社会の異常さ:河合薫の「社会を蝕む“ジジイの壁”」(4/5 ページ)
神戸市の小学校教師の問題が「いじめ事件」と報じられていることに違和感がある。これは暴行だ。このような大人の言動を見て子どもは育つ。子どものいじめ問題以前に、「パワハラ」という精神的暴力、“見て見ぬふり”の姿勢をどうにかしなければならない。
職場のパワハラも“精神的な暴力”
大人たちは子どものいじめが発覚する度に、学校や先生の対応ばかりを批判するけど、学校にいる大人も、家庭にいる大人も、テレビの中の大人も、みんなみんな子どもたちの“お手本”であることを忘れているのではないでしょうか。
私がこれまでインタビューしてきた700人超の中には、職場でパワハラを受け、鬱などの精神的不調に陥っていた人が何人かいました。彼らが受けたパワハラの多くは、精神的な暴力でした。
「もう一度小学校から行き直せよ」
「親の顔が見てみたい」
「おまえ臭い。風呂入ってないんじゃねーか」
「ばかは何度注意しても治らない」
「死んでみろよ」
彼らは直接言われることもあれば、陰口を言われたり、職場のメンバーたちに無視され続けたりしていました。
どのパワハラも陰湿であるがゆえに、肉体的な暴力以上に本人たちを苦しめていました。言わずもがな、どれもこれもかなり“幼稚ないじめ”です。
「いじめ」を「パワハラ」という言葉に置き換えてみてください。いじめで学校に行けなくなる子ども、パワハラで会社に行けなくなる大人。どちらも、誰もが被害者になるリスクがあれば、加害者になる可能性もある、深刻な社会問題です。
そして実は、日本の子どもたちのいじめ問題は、もう一つ特徴があることが、国立教育政策研究所の調査で分かっています。
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