関東圏鉄道各社のアプリに見る、利用者への接し方戦略:スマホにも、鉄道を(1/5 ページ)
関東圏の鉄道各社は、利用者のために運行情報などを提供するスマートフォンのアプリを提供している。JR東日本や東京メトロだけではなく、関東圏の大手私鉄でも出そろい、それぞれを相互に行き来しながら使用できるようになっている。各社のアプリを使ってみると、違いがあって……。
関東圏の鉄道各社は、利用者のために運行情報などを提供するスマートフォンのアプリを提供している。JR東日本や東京メトロだけではなく、関東圏の大手私鉄でも出そろい、それぞれを相互に行き来しながら使用できるようになっている。
しかし各社のアプリを使ってみると、違いがあって面白い。鉄道の運行情報に徹していたり、自社サービスへの囲い込みをうながしていたり、鉄道そのものの魅力を打ち出していたり、各社それぞれの利用者への接し方、露骨に言えば囲い込みの方法に違いが見える。
そんな各社のアプリを紹介しつつ、そこから見える鉄道会社のありかたの違いについて考えてみたい。なお筆者はiPhoneを使用しており、iPhoneのアプリを使用した上でこの記事を書いているものの、Androidのアプリでもそれほど変わらないだろう。
運行情報に徹するJR東日本アプリ
JR東日本のアプリは、経路検索や運行情報、列車走行位置、駅情報など、鉄道を利用する際の情報提供に優れた、鉄道利用者のためのアプリである。運行情報は遅延や運休などの情報が分かりやすく出され、列車走行位置はほぼ正確、表示に遅れが出ることもほとんどない。鉄道利用の案内としては、多機能で分かりやすいアプリと言えよう。
このアプリの特徴として、鉄道利用者の情報提供に徹していることが挙げられる。JR東日本は鉄道以外にも多くの事業を行っているので、「利用者を囲い込んでそこへの誘導を行いたい」といった考えを持ってもおかしくはないが、それは別のアプリで対応している。
Suicaをスマートフォンで使用したい人にはSuicaのアプリがあり、JR東日本のサービスをよく利用してポイントなどをたくさん貯めたい人には「JRE POINT」のアプリがある。
JR東日本は広域的に事業を行っている鉄道会社であり、ひとつのアプリで情報を盛り込むには、ちょっと無理がある。またSuicaのアプリは、電子マネーのアプリとして独立させるほうが、利用者としても便利だろう。アプリでチャージするたびに、鉄道の運行情報などが出てくる、というのも無理がある。
JR東日本の場合、地域密着型の私鉄とは異なり、幅広いエリアでサービスを展開することになる。そういった場合、アプリでは分かりやすく鉄道事業について伝えるほうが、理にかなっているといえよう。
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