関東圏鉄道各社のアプリに見る、利用者への接し方戦略:スマホにも、鉄道を(4/5 ページ)
関東圏の鉄道各社は、利用者のために運行情報などを提供するスマートフォンのアプリを提供している。JR東日本や東京メトロだけではなく、関東圏の大手私鉄でも出そろい、それぞれを相互に行き来しながら使用できるようになっている。各社のアプリを使ってみると、違いがあって……。
「選ばれる沿線」をめざす意志の固い京王アプリ
京王電鉄が提供するアプリは、鉄道やバスの運行情報、列車位置情報だけではなく、京王関連の商業施設のクーポンや、特別な列車の運行情報にも力を入れている。
こういったアプリのつくりは、京王グループの提供するサービスを鉄道以外にも利用してもらおう、沿線を愛してもらおうという意思表示の現れである。京王は「選ばれる沿線」を目指す、ということを最近よく述べている。その姿勢がアプリに現れているのだ。
鉄道を楽しめる西武線アプリ
西武鉄道のアプリは、イベントやクーポンなどの提供はあるものの、ほかの鉄道会社に比べると弱い。ただし、鉄道そのものを楽しめるという点では、このアプリに非常に好感が持てるのだ。
列車の走行位置を示す機能では、列車の走行位置だけではなく、使用している車両も分かるのだ。限定塗装の車両や、東急やメトロなど他社からの乗り入れ車両も、アイコンとなって表示されている。実際に利用している人にとってはどんな車両なのかわくわくし、沿線で写真を撮っている人には実際に参考になるアプリとなっている。
西武鉄道という鉄道を愛してほしい、車両などにも関心を持ってほしいという西武鉄道の考え方がよく現れたアプリである。その意味では、筆者は沿線住民ではないにもかかわらず大好きなアプリである。
列車走行位置の見やすい東武線アプリ
東武鉄道のアプリは、基本情報を押さえることに注力したベーシックなアプリだ。目立った特徴はないものの、列車種別ごとに整理された位置情報が見やすく、分かりやすいのがポイントである。ベーシックなところをきちんと押さえている。
位置情報に列車種別ごとの停車駅が組み合わされており、初めて東武を利用する人でも使いやすい。シンプルな分かりやすさという点では、JRなどとも共通し、あくまで鉄道利用者へのサポートに徹するという企業の姿勢が分かる。
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