なぜナチュラルローソンはカンガルーの肉を売ろうと考えたのか:“筋肉市場”を狙う(2/2 ページ)
ナチュラルローソンで筋肉関連商品の売り上げが伸びている。美容効果と“筋肉ムキムキ”効果を求めるお客に訴求。カンガルーの肉やゆで卵を売る理由とは?
カンガルーの肉に注目した理由
ナチュラルローソンでは、メーカーと共同で開発した商品だけでなく、美容事業などを手掛けるリベルタ(東京都渋谷区)のサラダチキンや煮卵も販売しているが、その中にちょっと変わった商品がある。それは、カンガルー肉を使った「アスリートのジャーキー ルーミート」(529円)だ。ちなみに、「ルーミート」とはカンガルー肉のことを指す。カンガルー皮革やカンガルー肉の輸入販売を手掛ける「バセル」(東京都大田区)が商標登録している。
サラダチキンや煮卵が筋肉を効果的に鍛えたいお客に向けた商品というのは理解できるが、なぜカンガルー肉のジャーキーを売ることになったのだろうか。
担当者は「カンガルー肉は、赤身肉の最高峰とされています。脂質が牛肉の20分の1といわれており、美意識の高い女性にも人気です」と説明する。
ターゲットとなるのは、高タンパク・低カロリー料理専門の「筋肉食堂」(都内で複数店舗展開)を利用するようなアスリート食を好む層と、美意識が高くダイエット志向のある女性だ。女性向けの情報番組でカンガルー肉を提供するレストランが取り上げられるなど、注目が集まっているという。
ちなみに、カンガルー肉はどのようにして生産されているのだろうか。バセルの担当者によると、ルーミートは飼育肉ではなく、オーストラリアの大自然で育った野生のカンガルーを捕獲し、専門工場で精肉しているという。オーストラリアにはルーミート専門店があり、カンガルー肉専用のレシピブックも多数販売されているのだとか。
同社は1980年代からカンガルーの輸入を手掛けてきたが、近年、需要が増えてきたため、年間50トンまで取り扱い量が増えたという。担当者は「食のトレンドとして、赤身肉への関心が高まっています。外食産業でもジビエ肉がブームになってきました。さらに、健康に気をつかう方や、アスリートの方が食べるようになっています。当社も2014年からルーミートのブランディングに注力しているので、その成果も出ていると考えています」とコメントした。
カンガルーの肉まで巻き込みながら“筋肉需要”はどこまで拡大していくのか。
関連記事
- 「なぜ売れるか分からない」 ドンキ化したファミマの人気商品に幹部が困惑
ドン・キホーテのノウハウを取り入れた共同実験店が6月にオープンした。店舗の売れ筋商品を分析したところ、ある商品が上位に食い込んだ。ファミマの幹部は「なぜ売れるのか分からない」と原因を分析しきれていない。 - 「100円×3個=301円」問題でセブンが公式に謝罪 見習うべきは「イオン方式」か
「税込100円×3個=301円」問題で混乱が起きたセブン。お客が困惑した根本原因は事前告知が不足していたことだ。ただ、イオンが採用する価格表記を採用する道もあったかもしれない。 - スーパーの「アピタ」と「ピアゴ」がどんどん“ドンキ化” 一方で住民から不安の声も
スーパーの「アピタ」と「ピアゴ」が“ドンキ化”している。運営会社は2022年をめどに、約100店舗を業態転換する方針だ。その一方で、生まれ変わる予定のアピタ岐阜店の周辺住民からは不安の声が出ている。 - 「どさん子ラーメン」は今…… 急成長から衰退までの経緯と復活のシナリオに迫る
札幌みそラーメンの“伝道師”として急成長した「どさん子ラーメン」。かつては1000店以上を展開していたが、マネされるのも早かった。“衰退”したと思われている一方で、復活に向けた動きもある。 - 埼玉発「ぎょうざの満洲」 消費増税に負けない“独自すぎる”ビジネスモデルに迫る
埼玉県発祥の「ぎょうざの満洲」。東京だけでなく関西にも進出し、着実に成長している。消費増税も恐れない独自のビジネスモデルに迫る。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.