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五輪マラソンはどうなる? 無謀なプロジェクトでコケる組織、3つの「あるある」スピン経済の歩き方(2/5 ページ)

IOC(国際オリンピック委員会)が、東京2020のマラソンと競歩の開催地を札幌へ変更すると言いだした。東京都は地元開催を訴えているが、無謀なプロジェクトでコケる組織の香りがぷんぷん漂っているのではないか。どういう意味かというと……。

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無謀なプロジェクトでコケる組織

 そんなIOCと対照的に、往生際悪く東京開催に固執している東京都の姿を見てつくづく感じるのは、典型的な「無謀なプロジェクトでコケる組織」だなあということである。

 報道対策アドバイザーという仕事柄、世間からバッシングされるような問題が発覚する組織を多く見てきた。そこで気付くのは、この手の組織は「どう考えても無理じゃない?」という無謀な目標や計画にのめり込んでいるうちに、ガバナンスやコンプライアンスが崩壊して大コケするパターンが圧倒的に多いことだ。

 分かりやすいケースが、東芝だ。「日本の原発を世界に輸出!」みたいな無謀な計画に大枚をつぎ込む一方で、現場に不可能な目標を課し、それを「チャレンジ」とかカッコいい言葉に置き換えて尻を叩く。当然、達成できない現場は利益のかさ上げなどのインチキに走るしかない。結果、組織はガタガタで信用も失墜して、今や名門企業の見る影もない。


(写真提供:ゲッティイメージズ)

 こういうヤバめの組織特有のにおいが東京都からもプンプン漂ってくる。

 「この時期は温暖でアスリートに理想的な気候」なんてテキトーなプレゼンで五輪開催を勝ち取った2013年から、「史上最も過酷な五輪になる」「選手も観客も熱中症でバタバタ倒れるぞ」と国内外から警告されていた。にもかかわらず、その厳しい現実から頑なに目を背け、「無謀なプロジェクト」をゴリ押しし続けて結局大スベり。「涼しい道路」に注ぎ込んだ300億円を水害対策などに回していれば、どれだけの都民が助かったかという批判も始まった。

 そこで、ビジネスパーソンの業務のお役に立つかもしれないので、今回の東京都を例にして、「無謀なプロジェクトでコケる組織」の「あるある」をご紹介したい。典型的な症状は以下の3つである。

(1)シナジー効果を過度に期待するあまりビジョンや目標が派手になりがち

(2)最初に定めた方針を転換・修正できず「過去の踏襲」を続けがち

(3)苦しくなると「伝統」や「先人の知恵」などの精神論を掲げがち

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