大企業と中小企業、実際に休みや残業が多いのはどっち? 政府統計で明らかに:厚生労働省発表(1/2 ページ)
厚生労働省は10月29日、「平成31年就労条件総合調査」の結果を発表した。同調査は、毎年実施され、今回は2019年1月1日時点での18年中の状況をまとめた。主要産業における労働時間や賃金制度などを調査し、民間企業における就労条件の現状を明らかにすることが目的。
厚生労働省は10月29日、「平成31年就労条件総合調査」の結果を発表した。同調査は、毎年実施され、今回は2019年1月1日時点での18年中の状況をまとめた。主要産業における労働時間や賃金制度などを調査し、民間企業における就労条件の現状を明らかにすることが目的。
調査によると、調査対象の全企業における1日の所定労働時間平均は、前年調査と変わらず7時間46分だった。週所定労働時間を企業規模別に見ると、最も短かったのが「1000人以上」の39時間00分だった。最も長かったのは「30〜99人」の39時間32分。企業の規模が小さくなるほど、労働時間が長くなる傾向にあるようだ。産業別では、「金融業、保険業」が最も短く38時間18分で、「宿泊業、飲食サービス業」が最も長い39時間57分だった。
ただし、所定労働時間は企業の「定時」を示すものだ。したがって、実際にどのくらいの時間外労働がされているのかは分からない。そこで、「勤務間インターバル制度」に関する数字を見てみよう。
同制度は、労働者の健康管理を目的とし、実際に終業した時刻から次の始業時刻までの間隔を一定以上空ける制度のことだ。働き方改革関連法の施行により、企業に対して導入の努力義務が課されている。今回の調査では、「導入している」「導入予定又は検討している」と答えた企業の割合が前年より増えており、企業への周知は進んでいるようだ。
一方で制度の導入、未導入を問わず、全企業における労働者の勤務間インターバルは、短くなっている結果が明らかになった。1年間を通じ、実際の終業時刻から始業時刻までの間隔が11時間以上空いている労働者の分布では、「全員」と答えた企業が32.9%。前年の調査では40.5%だったため、大幅に減少している。また、「全くいない」と回答した企業も10.7%存在した(前年調査では6.8%)。
今回調査は18年中に関するものなので、働き方改革関連法が施行される前の状況が明らかにされた形だ。ただ、この数年「働き方改革」というワードが浸透してきている中で、今回の結果は意外にも思える。この結果について、厚生労働省の担当者は「調査手法は、年間の平均ではなく、1日でも間隔が11時間未満だった人がいれば、『間隔が空いていなかった』と回答するようにアナウンスしている。したがって、必ずしも全体の労働時間が増えた、とは言い切れない」とコメントしている。
企業規模ごとに見てみると、「全員」と回答した企業の割合は、規模が小さくなるほどに増えている。「全くいない」と回答した割合も、大まかには企業規模が小さくなるほどに増加している。規模の小さい企業では、従業員の多くで残業が減る中、一部の人に業務が集中している傾向にありそうだ。
関連記事
- ドトール、休日減らして「有給奨励日」に 有給取得の“水増し”に厚生労働省「望ましくない」
4月から企業に義務付けられた従業員の有給取得。年間10日以上付与されている人について、5日以上取得させる必要がある。こうした中で、ドトールコーヒーがもともと休日だった日を出勤日にした上で「有給奨励日」に。理由については「改元などで祝日が多くなり、調整する必要が生じた」とコメントしている。働き方改革に逆行する取り組みを、厚生労働省はどう受け止めているのか? - 「勤務間インターバル」とは? 人事担当者必見の「働き方改革」用語解説
働き方改革関連法が可決・成立し、企業にも具体的な対応が求められます。企業の人事担当者が押さえておくべき「働き方改革」のキーワードをピックアップ。労働問題を扱う新進気鋭の弁護士が、用語の概念と企業が取るべき具体的な対策方法を解説します。今回は「勤務間インターバル」を取り上げます。 - 有休取得の義務化、企業の課題は「人手不足」 しかし実際の対応は……
人材会社エン・ジャパンは有給休暇の取得義務化の実態調査を発表した。7割以上の企業が「良いと思う」と回答したが、人手不足や業務過多といった問題もあるようだ。企業はどんな対応をするつもりなのか。 - 新卒入社してよかった会社ランキング、1位は?
就職・転職のための口コミサイトを運営するオープンワークは10月23日、「新卒入社してよかった会社ランキング 2019」を発表した。20代の新卒入社社員(2012年以降入社)に限定して、どれだけ入社をすすめたいかを調べたところ……。 - 「インスタ経験なし・50坪」から始まったうんこミュージアムが海を渡るまで
横浜で産声を上げたうんこミュージアムが、ついに海を渡った。2019年3月、横浜市にオープンしたうんこミュージアム。当初は7月までの期間限定だったが、好評を受けて会期を9月末まで延長した。公式発表によると、来場者数は30万人を突破。8月には「MAXうんこカワイイ」を掲げお台場に進出し、10月には中国、上海でもオープン。20年1月までの期間限定で展開している。快進撃を続けるうんこミュージアムは、どのように練り上げられたのか。仕掛け人に取材した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.