「導線がジグザグ」「方向感覚の喪失」 ロフトがちょっと変わった店を増やしている理由:店内をお客がウロウロ(2/3 ページ)
ロフトが5年ほど前からちょっと変わった店を増やしている。店内の導線はジグザグで、迷路のようになっている。お客の方向感覚を失わせる仕掛けの理由とは?
ジグザグにしてどんな効果が生まれるのか
ジグザグの導線と絶妙な高さのじゅう器によって、どんな効果が生まれるのか。広報担当者は「お客さまがお気に入りの商品を探して店内を回遊する中で、新しい商品を見つけてもらう狙いがあります」と説明する。
また、商品の配置にも工夫がある。ロフトの売れ筋カテゴリーに「美容・健康雑貨」がある。この売り場を、店の奥にあえて設置した。店の入口から美容・健康雑貨のコーナーを目指す途中、お客が「加湿器」「入浴剤」「バラエティ雑貨」「ヘアケア商品」「年賀ハガキ」のコーナーにぶつかったり、自然と目に入ったりするようにしている。
また、松戸ロフトでは年末を控え、手帳を店の入口の目立つ場所に陳列している。手帳を手に取ったお客がレジを目指す途中、文房具コーナーも通るようになっている。手帳にこだわるお客は、こだわりの文房具を購入する傾向があるので、ついで買いが見込める。
広報担当者によると、ロフトのお客は特定の商品を購入するためだけに来店するケースが多いという。手帳だけを買ってすぐにレジに直行してしまうのはもったいない。「目的買い」を「ついで買い」に変えるための仕掛けなのだ。
5年ほど前から導入
この売り場をロフトでは「クランク導線」と呼んでいる。導線をジグザグさせることで、回遊性を高めるしかけだ。5年ほど前から本格的に店舗に導入している。もともと、クランク導線を「千里バンパクロフト」(大阪府吹田市)で試験的に導入した。店内のカメラを使ってお客の動きを分析したところ、滞在時間が長くなったことが分かった。また、客単価もアップしたという。
それまでのロフトでは、通路は碁盤の目のように整然としていた。しかし、千里バンパクロフトの成功を踏まえ、ほとんどの新店にクランク導線を導入するようになった。ロフトの店舗は全国に124店(2019年10月25日時点)あるが、半数近くがクランク導線を導入している。
お客の回遊性を高めるために、迷路のようなレイアウトを導入した例としては、ドン・キホーテが有名だろう。商品を高く積み上げ、店内をうろうろさせ、掘り出しものを見つけ出す楽しみを提供する狙いがある。
ロフトでは、2年経過しても売れないものはどんどん入れ替える方式をとっている。目新しいものを次々と並べることで「ロフトに行ったら、何か面白いものがおいてありそう」とお客に思ってもらえる。あえて迷路のようにするレイアウトは、お客にとってはやや戸惑うケースもあるかもしれないが、売り場の楽しみを提供できているともいえる。さらに、“ついで買い“による店側のメリットもあるわけだ。
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