ローソンのからあげクンが、宇宙食になるかもしれない。同社は2017年から宇宙食向けにフリーズドライにしたからあげクン「スペースからあげクン」の開発に取り組んできたが、数十回の試作を経て、19年10月25日にようやく宇宙航空研究開発機構(JAXA)が特例として定める「Pre宇宙日本食」として認められたという。今後も試験を続けて正式認証を取得すれば、「宇宙日本食」として宇宙ステーションに持ち込めるようになる。
宇宙日本食認証、何がすごい?
宇宙日本食は、国際宇宙ステーション(ISS)に長期滞在する日本人宇宙飛行士のストレス緩和や仕事の効率維持などのために開発された宇宙食のこと。現在、レトルトカレーや味付けのり、ようかんなど34品目がある。
認証を受けるためには、栄養成分検査や1年半の保存試験などに合格し、JAXAが設定する「宇宙日本食認定基準」をクリアする必要があるが、審査途中で日本人宇宙飛行士がISSに長期滞在する計画が出てきた場合、特例として「Pre宇宙日本食」の認証が検討される。
保存期間が1年半未満の食品でも、JAXAが長期滞在に最低限必要だと判断した期間以上の保存性が確認でき、宇宙日本食の二次審査と同等の検査をクリアすれば、Pre宇宙日本食として認められ、ISSへの搭載が検討されるようになる。ローソンによれば、コンビニのオリジナル商品がPre宇宙日本食の認証を受けるのは初めてという。
普通のからあげクンとどう違う?
Pre宇宙日本食となった「スペースからあげクン」は、「からあげクン レギュラー」を宇宙食仕様のフリーズドライにしたもの。開封したらそのまま食べられるが、水で戻しても通常のからあげクンにはならない。地上と同じ味を宇宙でも楽しんでもらおうと、使用する肉や味付けは変えていないという。大きさは通常のからあげクンの半分程度で、食べたときに細かい粉が飛び散って機械の故障につながらないよう、一口サイズになっている。
ローソンでは、ある社員が宇宙飛行士の話を聞いて「ローソン商品を宇宙食にしたい」という構想を始めたことから、開発プロジェクトがスタート。JAXAとも意見交換を行い、宇宙飛行士の「宇宙でも肉を食べたい」という要望を受けて、数あるオリジナル商品の中からからあげクンの宇宙食化に着手したという。
今後は保存試験の実施を続け、2020年の正式認証取得を目指す。「2020年以降には、日本人飛行士の搭乗も予定されているようなので、認証を取得できた際には早速召し上がっていただけると嬉しい」(同社)。国際色豊かなISSで日本人だけでなく、外国人飛行士にもからあげクンを楽しんでもらう狙い。
ローソンは、「近い将来、月や火星に気軽に行けるようになった時にも、ローソンの看板商品であるからあげクンを気軽に食べられるようにしたい」とコメントしている。
関連記事
- 「からあげクンBAR」に行ってみた 独自の世界観と創作レシピをビールと一緒に味わう
4月15日から5月6日まで、「からあげクンBAR(バル)」がオープン。限定メニューをビールと一緒に味わえる。誕生してから33周年を迎えたからあげクンの新戦略とは? - 「からあげクンロボ」はローソンを救う“最終兵器”になるか
ローソンが「できたてからあげクンロボ」を試験的に運用する。ロボットを使えば約1分で揚げたてをお客に提供できる。ロボットに使われている技術がローソンを救うかもしれない。 - 空飛ぶ「からあげクン」届けたい 楽天・ローソンがドローン配送開始
楽天とローソンが、ドローンを活用した商品配送を開始する。ローソン南相馬小高店(福島県南相馬市)の商品を「小谷集落センター」に届ける。高齢者の買い物を支援する狙いで、実施期間は10月31日から半年間。 - なぜナチュラルローソンはカンガルーの肉を売ろうと考えたのか
ナチュラルローソンで筋肉関連商品の売り上げが伸びている。美容効果と“筋肉ムキムキ”効果を求めるお客に訴求。カンガルーの肉やゆで卵を売る理由とは? - 「セブン24時間見直し」の衝撃――ローソン竹増社長に問う“コンビニの持続可能性”
コンビニの24時間営業の是非が取り沙汰される中、ローソンの竹増貞信社長が3月7日、ITmedia ビジネスオンラインの単独インタビューに応じた。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.