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東京モーターショーで見ておくべきものは?池田直渡「週刊モータージャーナル」(3/6 ページ)

海外メーカーの撤退が相次いだ東京モーターショー。しかしユーザーとして、あるいは自動車産業に何らかのつながりを持つビジネスパーソンにとっては、多くのメーカーがこぞって商品を持ち寄る場であり、普段なかなか確認できない業界動向を直接観察するチャンスであることは変わりない。見どころを一気に紹介する。

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トヨタ・グランエース

 まずはトヨタが出品した「グランエース」だ。全長 × 全幅 × 全高が5300 × 1970 × 1990(ミリ)という巨体だが、これこそアルファード/ヴェルファイア(以後アルファードに統一)が到達できなかった本当のプレミアムなワンボックスだ。


アルファードよりもさらに巨大にすることで、プレミアム・ミニバンを実現したグランエース

 アルファードの問題は低床とフラットフロアによる床剛性の不足で、王様のシートであるべき2列目シートが常にブルブルと低級振動に悩まされる点だ(18年の記事参照)。トヨタはその問題について百も承知だが、マーケット側が何らかの条件を譲歩してくれない限りどうにもならない。

 グランエースは、FRシャシーと高い床を採用した。これによって床の剛性が圧倒的に上がり、もはや低級振動の出る幕はなくなる。実はアルファードの試乗会の時、床板を厚くして、必要なら電動タラップを付けるべきだと、筆者は主査に強く要望した。電動タラップはなかったが、その時改めるべきと主張した方向の商品を、実はトヨタは密かに開発しており、今回形になって出てきたのだ。

 FR駆動でもあり、床下のスペースが拡大されたことによって、あらゆる電動化が簡単安価にできるようになった。デフやドライブシャフト一体型のモーターは多くのサプライヤーによって汎用商品化されており、それらをチョイスするだけで簡単安価に製品化できる。


グランエースの車内。2列目電動シート、電動オットマンも備える

 あれもこれもと盛り込み過ぎて、問題が解決できなくなっていたアルファードの根源的問題点を、床を高くするという抜本的対策で逆転してみせたのがグランエース。それによって2列目シートの乗り心地が劇的に改善される。

 一言でいえば最もプレミアム性の高いミニバンだ。もちろん大きさと床の高さを受け入れる必要があるが、運転席に座った印象からすると、数値ほどにはボディを大きく感じない。ようやく登場した本物のプレミアム・ミニバンは明らかに要チェックだ。

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