世界に誇る「サイクリングロード」を初指定 選ばれた3ルートはどこ?:サイクリストに優しい環境整備
国土交通省は、訪日外国人の誘客などに有効なサイクリングロードとして、「ナショナルサイクルルート」の第1次指定ルートを発表。「しまなみ海道サイクリングロード」「つくば霞ヶ浦りんりんロード」「ビワイチ」の3ルートが選ばれた。
国土交通省は11月7日、訪日外国人の誘客などに有効なサイクリングロードとして、「ナショナルサイクルルート」の第1次指定ルートを発表した。選ばれたのは「しまなみ海道サイクリングロード」(広島・愛媛県)、「つくば霞ヶ浦りんりんロード」(茨城県)、「ビワイチ」(滋賀県)の3ルート。今後、国内外への発信を強化していく。
年間の訪日外国人数目標4000万人を達成するため、政府は海外で人気がある「自転車ツーリズム」に本腰を入れている。国際水準の自転車道として、2019年度中にナショナルサイクルルートの指定を目指していた。
すでに、全国各地でサイクリングロードの整備や魅力向上の取り組みが進んでいる。今回は、その中でも代表的な場所や、サイクリング客の受け入れ態勢が整っている地域が選ばれた。
全国的に知名度が高い「しまなみ海道サイクリングロード」は、広島県尾道市のJR尾道駅から愛媛県今治市のサイクリングターミナル「サンライズ糸山」までの全長70キロ。瀬戸内海の島々をつなぐ橋を渡りながら、本州から四国へと走るルートだ。サイクリング客に対応した休憩所やサイクリスト専用ホテルなどが整備されているほか、道路には推奨ルートを明示するブルーラインを引いてあるなど、走行環境も整っている。
「つくば霞ヶ浦りんりんロード」は、茨城県桜川市のJR岩瀬駅から茨城県潮来市の水郷潮来バスターミナルに至る全長176キロ。旧筑波鉄道の廃線跡地を活用しており、霞ヶ浦湖岸を1周するルートになっている。18年に、全国初の鉄道駅直結サイクリング拠点として「りんりんスクエア土浦(ゲートウェイ)」を開業。多言語対応したサイクリングマップや路面のルート案内表示なども整備されている。
琵琶湖を1周する「ビワイチ」は、滋賀県大津市の瀬田唐橋を起点とする、反時計回りの一方通行ルート。全長は193キロ。守山市が運航する「漁船タクシー」など、湖上交通と組み合わせて、体力に合わせて気軽にサイクリングを楽しむための取り組みが行われている。案内表示やサポート拠点も整備されている。
国交省は、ナショナルサイクルルートのブランディングを図るためのロゴマークも制定した。東京五輪・パラリンピックが迫る中で、「日本にも国際水準のサイクリングロードがある」と発信することで、日本を訪れるサイクリスト、さらにはリピーターを増やしたい考えだ。
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