自宅映像を1カ月間撮影し続けると20万円もらえる謎のプロジェクト 既に400人が参加申し込み:生きているだけで価値を生み出せるか?
1カ月間、自宅で映像を撮影し続けると20万円を受け取れるプロジェクトが開始している。日本国内在住で、成人している人が対象。既に参加の申し込みは400件ほど集まっているという。どういう狙いでプロジェクトが立ち上がったのか?
参加者のプライベート情報を収集する代わりに、20万円(税別)を支給するプロジェクトが始まっている。プロジェクト名は「Exograph」。11月1日に設立されたPlasma(東京都目黒区)が主催するプログラムだ。対象となるのは日本国内在住で、実験期間までに成年している人。なお、未成年でも保護者の同意があれば申し込みができる。実験期間は11月25日〜12月25日の1カ月間。11月1日〜15日まで、申し込みを受け付けている。
参加者は自宅の浴室以外にくまなくカメラを設置し、全ての生活映像を記録し、提出。収集したデータを基にPlasmaが有識者や企業へのヒアリングを行う。参加者が1万人規模にまで拡大した際、企業にデータを販売すると1人当たりどれくらいの金額になるのかを調査するという。Plasmの遠野宏季社長によると、現段階では「1人につき1万円」を想定しているという。
なお、収集したデータは個人が特定できないような形で加工される。基本的に、撮影したデータはすべて提出しなければいけないが、要望によっては動画の一部を削除することにも対応するという。その場合は、報酬の一部を減額したり、不支給になったりする可能性もある。
遠野社長は、個人が投稿できるWebメディア「note」にプロジェクトの進捗(しんちょく)を記録している。これによると、GoogleやFacebookの利用により、知らず知らずのうちに自分のデータが収集されている中で、違和感を覚える人が増えている。その中で、「データを買い、対価を与える」と明確に宣言した取り組みがどのように受容されるのかを明らかにしたいというのが目的のようだ。また、若年層を中心にプライバシーに関する認識が変容し始めており、どのような属性の人に、どのような対価を支払えばデータを提供してくれるのかを明らかにしたいとも述べている。
同noteによると、11月10日までに419人が申し込んだという。内訳を見ると、男性が330人、女性が89人。年齢分布も幅広く、単に報酬が欲しい人は全体の2〜3割程度にとどまっているという。
当初の支給金額は20万円ではなく、東京23区内の30歳前後の人が生活保護を受給した場合に支給される13万円ほどに設定していた。しかし、生活保護と結び付けた金額設定により一部から「貧困ビジネス」と批判され、金額を変更した。
実験が行われれば、これまでにない生活データを収集できることになる。Plasmaが仕掛けるプロジェクトは、社会にどのような変化をもたらすだろうか。
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