GAFAへの反乱? 自ら「個人情報」を企業に差し出す人たち:変化する「個人情報」の捉え方(1/2 ページ)
巨大プラットフォーマーによる個人情報収集が問題化している。サービスがパーソナライズされて便利になる一方、パーソナルデータを抜き取られる現状に疑問を持つ人も多い。政府を中心に、制度構築の機運も高まっているが、まだまだ具体策は見えない。そんな中、抜き取られるだけではなく、自ら企業に情報を提供する流れが出てきた。
GoogleやFacebookなど、「GAFA」と呼ばれる巨大IT企業のサービスが世界中を覆い始めている。ユーザーは自分に最適化された情報を享受できる一方で、個人情報を知らず知らずのうちに抜き取られているという「負の側面」も存在する。例えば、リクルートが運営する就職サイト「リクナビ」を利用した学生の個人情報を、明確な同意を得ずに企業側へ提供した問題もその1つだ。
巨大なプラットフォーマーによって、自分の情報が知らず知らずのうちに販売されている――。政府もこうした現状に対し、対策を進める。総務省、経済産業省、公正取引委員会は2018年7月に「デジタル・プラットフォーマーを巡る取引環境整備に関する検討会」を設立。同年12月には「プラットフォーマー型ビジネスの台頭に対応したルール整備の基本原則」を発表した。
また、公正取引委員会は単独で「デジタル・プラットフォーマーと個人情報を提供する消費者との取引における優越的地位の濫用に関する独占禁止法の考え方(案)」を19年8月に発表。案では「消費者がデジタル・プラットフォーマーから不利益な取扱いを受けても,消費者がサービスを利用するためにはこれを受け入れざるを得ないような場合は,当該デジタル・プラットフォーマーは消費者に対して優越した地位にある」と定義し、「利用目的を消費者に知らせずに個人情報を取得すること」「利用目的の達成に必要な範囲を超えて,消費者の意に反して個人情報を取得・利用すること」などを「濫用」の例として挙げている。
個人情報については、SNSで「自撮り」したり、「オフ会」で見知らぬ人とつながりを持ったりする人が増え、情報が流出することへの態度変容も起きている。ならば、個々人がプラットフォーマーに一方的に情報を利用されるのではなく、個人が自らデータを「売る」時代も到来するのではないか。実際、そうしたサービスが出始めている。
関連記事
- 会議の時間、なぜ「1時間」? 日本MSの「週休3日」 実現の裏にはグローバル基準の「30分会議」
日本MS「週休3日」の裏には「30分会議」の存在があった。そもそもなぜ会議は1時間が基本なのか。日本MSの広報担当者によるとグローバル基準では30分会議がメジャーらしい。Outlookの設定時間も、デフォルトは30分だ。では、どのようにすれば会議の時間をコンパクトにできるのか。 - リクナビの「同意なしに学生の個人情報提供」はなぜ起きた? 裏には企業との業務提携関係
- あなたの個人情報、Facebookにこれほど吸い上げられている
Facebookの個人情報が不正に集められて米大統領選に使われたことが指摘され、騒動となっている。しかし、無料で利用できるFacebookやGoogleが個人情報を利用してビジネスをしていることは驚くことではない。どのようなデータが吸い上げられているかというと…… - ドトール、休日減らして「有給奨励日」に 有給取得の“水増し”に厚生労働省「望ましくない」
4月から企業に義務付けられた従業員の有給取得。年間10日以上付与されている人について、5日以上取得させる必要がある。こうした中で、ドトールコーヒーがもともと休日だった日を出勤日にした上で「有給奨励日」に。理由については「改元などで祝日が多くなり、調整する必要が生じた」とコメントしている。働き方改革に逆行する取り組みを、厚生労働省はどう受け止めているのか? - 「インスタ経験なし・50坪」から始まったうんこミュージアムが海を渡るまで
横浜で産声を上げたうんこミュージアムが、ついに海を渡った。2019年3月、横浜市にオープンしたうんこミュージアム。当初は7月までの期間限定だったが、好評を受けて会期を9月末まで延長した。公式発表によると、来場者数は30万人を突破。8月には「MAXうんこカワイイ」を掲げお台場に進出し、10月には中国、上海でもオープン。20年1月までの期間限定で展開している。快進撃を続けるうんこミュージアムは、どのように練り上げられたのか。仕掛け人に取材した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.