中国が着手した「6G」って何? 5Gから10年先の“覇権”を巡る思惑:世界を読み解くニュース・サロン(1/4 ページ)
米国や韓国、中国が「5G」の通信サービスを開始。一歩遅れた日本も2020年にスタートする。そんな中、中国が早くも「6G」の研究を始めたと発表。現実的な話なのか。今、“6Gの世界”を想像することは難しいが、日本もうかうかしていられないかもしれない。
2019年は「5G元年」だといえる。もはや言うまでもないが、5Gとは第5世代の移動通信システムのこと。
米国では18年10月から試験的に5Gがスタートしていたが、19年4月9日にスマートフォンで使える5Gの通信サービスを開始。それに負けじと、韓国は突然、米国がスタートする1時間前にサービスを開始して、「世界初」と強引に主張したことで話題になった。どうしても世界初と言いたかったようである。
そんな具合で、すでに導入が始まった5Gだが、これまで、中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の5G通信インフラなどを巡って、米国との対立が激化しているのはこの連載で何度も取り上げてきた。現在進行中の米中貿易戦争も相まって、ファーウェイをめぐる攻防は続いている。
そんな中国でも、11月1日に中国移動と中国聯通、中国電信の3大通信事業者が5Gの通信サービスをスタートさせた。こちらは、現時点で「世界最大規模のネットワーク網」という触れ込みだ。
通信分野でも優れた技術力を持っているはずの日本では、5Gがスタートがするのは20年。一歩遅れた感があるが、中国や米国のように、5Gの経済効果を見据えて、国策として多額の補助金などの支援を推し進めてこなかった日本が、今後も後塵(こうじん)を拝するのは仕方がないだろう。
韓国や米国、中国が5Gサービスを本格的に立ち上げ、そして日本などがこれから頑張ろうという最中に、新たなニュースが中国から飛び込んできた。なんでも、5Gをスタートさせたばかりの数日後に、「6G」(第6次移動通信システム)の研究を公式に開始したと発表したのである。
そもそも6Gとはどんな技術で、それが世界にどんなインパクトを与えるのか。筆者のような凡人には想像もつかないが、中国の思惑はどこにあるのだろうか。中国のビジョンをのぞき見てみたい。
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