ビットコインはデジタル・ゴールドなのか? マネックス大槻氏に聞く(7/7 ページ)
暗号資産(仮想通貨)の代表例であるビットコインは、しばしば「金」(ゴールド)と 比較される。金が埋蔵量に上限があるように、ビットコインはアルゴリズム的に採掘上限が定められている。さらに、価値を保証する発行体がないというのも、ビットコインと金の共通点だ。しかし、果たしてビットコインはデジタル版の「金」になり得るのか。マネックス証券のチーフアナリスト、大槻奈那氏に聞いた。
――「ビットコインはデジタル・ゴールドだ」ということに対しての、納得感はどのくらいか。
60%くらい。まだ完全に納得できていないところはある。(量子コンピューターが実用化されると暗号資産の基礎である暗号を解けてしまうかもしれないという)量子コンピューター問題しかり、ハッキングしかり。今後、暗号資産に技術的に大きな問題が出てくる可能性を考えると、そこはゴールドとは違う。
ゴールドはオールドファッションだからこそ、技術にやられることはない。原始的だからこそ安心できる。逆に、ビットコインはまだ開発途上だ。
ただし経済は、紙と金属のお金から変わりつつある。それを象徴するもの、夢として登場したのが暗号資産だ。価値の保存と決済手段として、一定程度は代替される可能性がある。
――ビットコインも2009年の誕生から11年目に入る。この年月をどう評価するか。
実績は重要だ。クレジットカードも、1950年代にできたときは10年経っても信用力がなかった。暗号資産は、新しい形の金融手段としてはこれからだ。昔は株式だって怪しいものとして禁止されたことがある。ビットコインが10年で数十兆円の価値にまでなっているのは、成熟のスピードが相当早いといえる。
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