調査リポート
「給与を上げれば退職者は減る」は本当か 経営層の考える「退職対策」と現場の乖離(かいり)が明らかに:勘とイメージ頼みの人事戦略(2/2 ページ)
「給与を上げれば退職者が減る」と考える会社役員は多い。しかし、給与の上昇は本当に退職率を下げる効果はあるのだろうか。トランスの行った調査で役員層と従業員の意識の違いが明らかになった。
「エンゲージメントを高めれば退職者は減る!」は本当か
給料以外で経営層が重視しているものが「エンゲージメント」であることも今回の調査で分かった。「従業員のエンゲージメントを高めることで退職者は減ると思うか?」に対して、「思う」と回答した人は67%。給料と同じくらいのウエイトでエンゲージメントを重要だと考えている経営層が多いようだ。
では、トランスが過去に行った調査ではどうだったのか。102の組織、チームに対して行った調査では、エンゲージメントの高さと退職率が関係しているというような結果は得られていなかった。退職率が最も高かったのがエンゲージメントスコアが「50〜55」の組織。退職率が最も低かったのはエンゲージメントスコアが「60〜65」のゾーンだった。
今回の調査結果について、トランスの塚本鋭社長は「『ヒト』については、ほとんどの会社で課題であるにもかかわらず、自社における正しい状況を把握できている会社はほとんどありません。一方、世間で広まっている情報は、特定の前提条件がある場合のみ正しいといえるケースも少なくなく、多くの企業が自社には合わない情報を基に、経営の意思決定を行ってしまっていると考えています」とコメントしている。
今回の調査は2019年10月、26〜79歳の会社役員1000人を対象に、インターネット調査で行われた。
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