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90年前にMaaSの思想があった! 富山に根付く「どこからでも市街地へ」の精神杉山淳一の「週刊鉄道経済」(1/6 ページ)

2020年3月、富山市内の2つの路面電車が接続し、相互直通運転を開始する。さらに2社が合併することで、運賃は実質値下げとなる。この“英断”から富山の公共交通の歴史を探ると、90年前に生まれた「一県一市街化」構想が、現代の「MaaS」に通じることが分かる。

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 2020年3月21日、富山市内の「富山ライトレール富山港線」と「富山地方鉄道市内線(路面電車)」が、富山駅の高架下で接続する。これで富山駅の南北で展開している2つのLRT(次世代型路面電車)路線が相互直通運転を開始する。そればかりか、接続に先駆けて、2月22日に富山地方鉄道と富山ライトレールは合併し、南北の全線が富山地方鉄道の管轄になる。


富山地方鉄道市内線のLRV車両「セントラム」

 現在、富山ライトレールは1回の乗車で210円の均一料金。富山地方鉄道市内線も同じで、210円の均一料金だ。富山駅で2つの路線を乗り継げば、それぞれ210円、合わせて420円かかる。しかし、3月21日からは全線が富山地方鉄道市内線となり、富山駅南北の直通運転が始まる。それでも運賃は全区間210円に据え置く。

 つまり、いままで富山駅南北の路面電車をまたがって利用していた人にとっては「直通運転で便利になる上に、運賃は今までの半額」となる。合併で同じ会社の路線になるわけだから当然ではある。しかし「そこまでやるか!」と驚く。「受益者負担」は据え置きでいいのではないか、という考え方もあったはずだ。

 何しろ、この路面電車の南北接続事業に関しては富山市が主体となる事業であり、富山県の公金が充当され、国からも補助金を得ている。南北接続区間は上下分離され、富山市が軌道設備の保守費用を負担する。その枠組みは賛成だ。とても良い。


富山ライトレール(水色)と富山地方鉄道市内電車(緑色)。地理院地図を加工
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