元カノが子宮頸がんになった過去……ホリエモンがハヤカワ五味と語る「予防医療と検診の必要性」:堀江貴文が語る「予防医療」【前編】(5/5 ページ)
ホリエモンこと堀江貴文氏と、女性ファッションデザイナーで実業家のウツワ社長ハヤカワ五味氏が対談。見えないニーズを掘り起こし革新的なビジネスモデルを築いてきた異端の起業家2人が今、最も注目しているのが「予防医療」の分野だ。社会課題を解決し、将来的な顧客をどのように育てていく術があるのか、2人の起業家の対談からヒントを得たい。前編は防げる病である子宮頸がんや大腸がんの現状について思うところを語ってもらった。
政治家と向き合う必要性
ハヤカワ: 私個人としてはワクチンは打つべきだと思っていますが、アンチもいるなかでどうやったら変わることができるのか気になっています。ちょうど私たちは、反ワクチン派が増え、積極的勧奨ではなくなって、打たない方がいいという空気になった世代だったんですよ。たぶん同世代で打っている人は肌感覚で言うと10%くらいかなと。
堀江: 現在の日本全体での接種率だと、1%ですね。
ハヤカワ: そんなに低いんですね。私はワクチンを打っていなくて、実際に子宮頸がんに引っかかって、たまたま検査に行ったからよかったですけど。同じような人も多いなかで、この先どうやって子宮頸がんを減らすために駒を進めればいいのかなと思っています。
堀江: 僕はITの仕事をしていたので、政治と関わりがなかったんですね。政治と関わらなくても仕事ができるから、別に必要ないと思っていたのだけど、宇宙事業を始めて変わってきましたね。
ハヤカワ: 宇宙事業はロビイングが必要になるんですね。
堀江: 予防医療普及協会もそうです。活動を始めて、僕たちは政治家に向き合っていないなと初めて思ったんですよ。政治家が見ている世界はすごく分断されていて、僕たちのことなんて見ていないです。
ハヤカワ: どこを見ているんですか。
堀江: 陳情にくる人とか、支持者。積極的にアプローチをしてくる人を見ているんですよ、彼らは。そういう人しか見えていない。その人達をさばくだけでも大変なんですよ。
ハヤカワ: さっきの話で言うと、ノイジーマイノリティーの方がアプローチをするわけですね。
堀江: 彼らはすごくエキサイトしています。だけど、サイレントマジョリティーの人たちはもちろん声を上げません。だから僕たちも、相当アクティビストになっていかないとたぶんダメですね。政治家に対して積極的にレクチャーをして、「日本だけおかしいことになっているけど大丈夫ですか」と言わなきゃいけない。
本当に10年後、日本だけが子宮頸がんの罹患率が高いみたいな話になると、国際的にまずいことになるんですよ。汚染国みたいな扱いになる。積極的勧奨を再開しない問題についても、国際学会では「日本は壮大な人体実験をやっている」と言われています。
ハヤカワ: それは、例えば国連とかですか。
堀江: WHO(世界保健機関)からも名指しで日本の現状を批判されています。
ハヤカワ: その点で社会問題化しないといけないですね。
堀江: 社会問題化はマスコミがしなきゃいけないんだけど、最初はマスコミが反ワクチンを推進していたから。
ハヤカワ: それで変わってしまった部分が大きいですよね。
堀江: だからマスコミを変えるのもひとつの手だけど、ここがまた問題で、マスコミの力が相対的に落ちてきているんですよね。
ハヤカワ: 確かに反ワクチンが広がった時に比べると、あきらかに落ちていますね。
堀江: そう。だから、ソーシャルメディアの力が実は強い。
ハヤカワ: ソーシャルメディアだと、アンチ系の声が大きくなりやすかったりしませんか。
堀江: Twitterはそうだけど、ユーチューバーはおそらくサイレントマジョリティーだと思うんですよ。YouTubeでそういう言説を言っているのは山本太郎ぐらいだと思う。でも山本太郎の力は強いな、結構。
ハヤカワ: 強いですか。
堀江: その辺の人たちにとっては結構強いよ。
ハヤカワ: Twitterだと反対派の意見が聞こえてきやすい印象があるんですけど、もしかしたらYouTubeとかに活路が見いだせるかもしれないということですか。
堀江: もしかすると、左翼系の野党を説得するほうが効果があるかもしれない。
ハヤカワ: なるほど。可能性はありますね。
堀江: そういう問題は揚げ足を取られたくないと思うんですよ。ただ、左派の人たちは反ワクチンが多い。
ハヤカワ: 多い印象はありますね。実際応援している層がどういう層かというとまた難しいですね。
堀江: ここにまたさっきの内ゲバ問題があります。僕は瀬戸内寂聴さんと対談したことがあって、その時に原発の問題で議論しました。寂聴さんはわりと左派の人たちとつるんでいて反原発派なんですよね。僕が自分の考えを話したら「堀江くんの言っていることも分かる。だけど、今更、私は考え方を変えることができない」と言われました。なぜなら仲間外れになるからです。
ハヤカワ: 所属しているからですね、集団に。
堀江: そう。その集団って、わりと内ゲバというか、集団から外れようとするとリンチにあうので。物理的にリンチにあうことはいまはないだろうけど。だから僕は、もっともっと政治家に対して声を上げていく必要があると思っているし、左派の政治家、野党の政治家を説得するのはいいんじゃないかなと思いますね。ここさえ説得できれば。
ハヤカワ: そこから広がっていく可能性が高いですね。
堀江: インセンティブがないのかな。でもね、僕は宇宙開発の方で積極的にロビイングしていて思ったのは、わりと当選1期目2期目くらいの政治家って(取り組む)ネタがないそうです。
ハヤカワ: 表明することがないって言いますよね。
堀江: そう。国会で何とか委員会とかにいるけど、そこで自分がプレゼンすることがないから困っている。
ハヤカワ: キャラ立ちしないみたいな。この選択肢があるというカードを提示して、それがその議員のキャラクターになっていったら、継続的に国会で取り上げていく可能性もありそうですよね。
堀江: それで議連とかにも入って活動していくと、徐々にマスコミにも取り上げられるようになるし。だからわりと当選回数が浅い、若い議員の人たちにレクチャーをするのは結構効くと思います。後編でもキャンペーンがうまくいくための具体的な方法を考えてみましょう。
(後編に続く)
著者プロフィール
田中圭太郎(たなか けいたろう)
1973年生まれ。早稲田大学第一文学部東洋哲学専修卒。大分放送を経て2016年4月からフリーランス。雑誌・webで警察不祥事、労働問題、教育、政治、経済、パラリンピックなど幅広いテーマで執筆。「スポーツ報知大相撲ジャーナル」で相撲記事も担当。Webサイトはhttp://tanakakeitaro.link/
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