藤原副社長、マツダが売れなくなったって本当ですか?:池田直渡「週刊モータージャーナル」(2/6 ページ)
ここ最近のマツダには、聞いてみたいことがたくさんある。あれだけ出来の良いクルマを作りながら販売台数がなんで落ちるのか? MAZDA3とCX-30を批判している人は、まず乗ってみたのか聞きたい。あれに乗って、それでも高すぎると本当に思うのだろうか?全てを知り、なおかつ一番本当のことをズバリしゃべってくれそうな藤原清志副社長がインタビューに応じてくれることになったのである。第7世代は売れてないのか? を解説しつつ、真実を見ていく。
マツダは身の程知らずに値上げした?
さて、「マツダは身の程知らずにクルマの値段を高くして、ユーザーに総スカンを食らった結果、クルマが売れなくてもう終わり」と、ネット界隈ではアンチ発言が渦巻いている。本当なのか?
まずは価格の話からだ。車両価格は確かに上がっている。だがそれは「利幅を増やして大儲け」という話ではない。藤原副社長はそこをこう説明する。「今、CASEの対応で、絶対みんな(車両価格が)上がる時代なんですよ。コネクティビティとか先進安全技術とか、電動化とか、そういうことを考えると必ずベースは上がります。どの会社もこれから出てくる新車は、それ(CASE)を入れてしまったら(価格は)上がるんです。そこをどう見るか? 商品の価値を見ずに高い高いといっているのはあるかと思うんです」
それはつまり、CASE周辺にはとてつもないお金が掛かる割に、ユーザーとしては価値を実感し難いということでもある。
「(CASE対応をやれば)20万円くらいは最低でも価格が上がるんですが、そこだけで価値として分かってもらえないので、そこにわれわれが何をするかなんです。値上がりの原因はほとんどがCASEなんですけど、(第7世代では)静粛性の向上やオーディオ音質の向上、インテリアの質感、この3点は、(分かりにくい)CASEじゃない領域で(高くなった分)良くなっているでしょ? と納得を得るためにやってきたんです。それで『いいよね。このくらいするよね』と思っていただけるようにしたかった。だから、高額にしたとか、価格が高いといわれると、『その比較対象は、いったい何年のどのクルマなんですか?』と思うのが正直なところです」
否が応でもやってきたCASEの時代のコストについて、むしろマツダは、ユーザーの納得感のために、可能な限りその他の部分の価値を上げることで頑張ったのだというのが、藤原副社長の主張である。Cセグメントとして高すぎるという人たちには、「赤いファミリア100万円」時代の記憶が消しがたく残っているのだろう。しかし赤いファミリアからは40年。それだけの年月を挟んだ製品の価格を比べても仕方ない。だからこそ「何年のどこのクルマなんですか?」という発言になるのだろう。
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