藤原副社長、マツダが売れなくなったって本当ですか?:池田直渡「週刊モータージャーナル」(3/6 ページ)
ここ最近のマツダには、聞いてみたいことがたくさんある。あれだけ出来の良いクルマを作りながら販売台数がなんで落ちるのか? MAZDA3とCX-30を批判している人は、まず乗ってみたのか聞きたい。あれに乗って、それでも高すぎると本当に思うのだろうか?全てを知り、なおかつ一番本当のことをズバリしゃべってくれそうな藤原清志副社長がインタビューに応じてくれることになったのである。第7世代は売れてないのか? を解説しつつ、真実を見ていく。
マツダの戦略は失敗なのかを検証する
さて、高い安いという感覚の話はおいて、利益がどうなっているかを見てみよう。
マツダの2020年3月期第2四半期決算を見ると、かなり厳しい数字が並んでいる。売上高、営業利益、経常利益、税引き前利益、当期純利益、売上高営業利益率の全てがダウン。特に売上高利益率1.5%は正直瀕死の重傷に見える。
いったい何でこんな事になったのかは別の表を見ると見えてくる。営業利益変動要因だ。筆者はこのページを見て驚いた。ベースの数字は前年の利益298億円にプラス312億円。つまり商品そのもの利益は2倍に増えている。販売台数がダウンしているにもかかわらず利益が2倍というのは内容が劇的に向上しているということだ。
自動車メーカーの利益を左右する主要因は、おおむね5つある。台数(販売台数)、構成(単価)、販管費(値引き)、品質関連費用(リコールなど)、為替だ。多くの決算書では台数・構成・販管費をひとまとめにした上で、利益変動要因を説明する。マツダの場合それが図表の左側2つ。前年度の利益と本年度のベースとなる利益だ。グローバル販売台数が8%ダウンしているという結果を見れば、これが倍増する理由は消去法で見れば「構成」と「販管費」のどちらか、または両方にあることになる。
その部分の解説コメントには「販売費用の抑制と単価改善の効果」と書かれており、多くの場合、影響が大きい順に書かれる。つまり商品の販売に関わる諸費用(販管費)が減っている。マツダの宿痾(しゅくあ)ともいえた値引きが激減しているということだ。なのになぜ財務指標では営業利益が減っているかといえば、375億円という凄まじい為替差損である。
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