藤原副社長、マツダが売れなくなったって本当ですか?:池田直渡「週刊モータージャーナル」(4/6 ページ)
ここ最近のマツダには、聞いてみたいことがたくさんある。あれだけ出来の良いクルマを作りながら販売台数がなんで落ちるのか? MAZDA3とCX-30を批判している人は、まず乗ってみたのか聞きたい。あれに乗って、それでも高すぎると本当に思うのだろうか?全てを知り、なおかつ一番本当のことをズバリしゃべってくれそうな藤原清志副社長がインタビューに応じてくれることになったのである。第7世代は売れてないのか? を解説しつつ、真実を見ていく。
というのはどういうことか? ちょっと解説しよう。19年3月期の本決算発表において、マツダの丸本明社長は、インセンティブの増加で利益率を落としたことについて再三にわたって反省の弁を述べた。昨年のマツダは、北米でセダン販売の減速をカバーするために禁じ手の値引きを発動してしまったのだ。
13年から始まった構造改革プランでも、17年から始まった構造改革ステージ2でも、マツダが必死に取り組んできたのはブランド価値の改善である。簡単にいえば値引きを抑制し、中古車価格を高く保つということだ。それだけ長いこと中核課題として取り組んできながら、19年の本決算で「また値引きをしてしまいました」と言うので、だとしたら一体一連の構造改革とは何だったのか? と筆者は思わざるを得なかったのである。販売奨励金、つまり値引きは麻薬である。「ダメ絶対!」と思ってもなかなか止められない。
ところがそれからたった半年で、そこを改善して利益のポテンシャルを2倍まで躍進させてきたのである。もちろん北米で一度毀損させたブランド価値はそう簡単に回復しないので、先行してブランド戦略が成功している日本の利益が、北米をカバーしたと考えるのが妥当だろうが、それでもトータルで大きなプラスを稼ぎ出しているという意味では、筆者から見ると内容的に花丸級である。
しかしながらマツダは運が悪い。せっかく胸を張れる結果を出した時に、向かい風の突風が吹いて為替差損でプラスが全部消し飛んだのみならず、後退を余儀なくされた。為替というのは天災のようなもので、これをうまく避ける方法はなかなかない。
では藤原副社長はこれをどう受け止めているのだろうか? 筆者の「構造改革としては大成功と認識して良いのではないか?」という問いに対する答えはこうだった。
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