「アメリカンイーグル」年内に国内全店舗を閉店へ 背景にはユニクロの陰:33店舗を段階的に閉店
「アメリカンイーグル」が2019年末までに国内全33店舗を閉店すると発表。12月18日から、段階的に閉店していくという。背景には日本市場の特異性やアメカジの不調など、さまざまな事情が絡み合う
「洋服の青山」などを手掛ける青山商事は11月25日、連結子会社の運営するアパレルブランド「American Eagle Outfitters(アメリカン・イーグル・アウトフィッターズ、AEO)」の国内全店舗およびECサイトを2019年中に閉店すると発表した。12月18日に横浜ジョイナス店を閉店するのを皮切りに、12月31日までに順次閉店していく。ECサイトは12月31日午後9時をもって営業を停止する。
AEOは、青山商事の連結子会社であるイーグルリテイリング(東京都渋谷区)が運営。10年から、米AEO社のフランチャイジーとして日本国内に店舗を展開してきた。12年4月に表参道店をオープン以来、19年3月末時点で店舗数は33店舗にまで拡大。米AEO社との契約期限は22年までとしていたが、19年6月に、契約期限を待たず19年中を期限として米AEO社へ事業譲渡する検討を開始しており、このたび事業撤退を決定した。
絡み合うさまざまな要素
小売、流通アナリストの中井彰人氏は今回の閉店について「日本という特殊な環境が、グローバルブランドにとって難しい市場であることがよりはっきりした」と指摘する。アメリカンイーグルを含む広義のファストファッションブランドは「安さ」と「カジュアルさ」を武器にグローバル展開してきた。しかし、日本ではユニクロという巨人が存在しており、消費者のベンチマークとして機能している。
「品質や価格を総合的に判断したとき、日本市場でユニクロと勝負できるブランドはそうはない」と中井氏。19年10月にはファストファッションブランド「Forever21」も日本国内での事業を終了し、「GAP」も19年5月に原宿の旗艦店を閉店するなど、グローバルなブランドには逆風が続く。「さらに、少子高齢社会に突入し、市場としての成長性も大きく期待できるものではなくなってきている」とも中井氏は話す。
また、「アメカジ」ジャンルの苦境も閉店の理由として挙げられた。「アメカジというと、カジュアルファッションの中でもやや昔のトレンド。世代的に、若年層の評価を受けづらい」(中井氏)。国内アメカジブランドの代表格であるライトオンも、19年8月期で下方修正した決算をさらに下回る業績で着地するなど、苦戦が続いている。
「不採算事業」となりつつあるAEOを切り離した形だが、青山商事は主力のビジネスウェア事業でも直近の19年3月期決算で減収減益となっている。立て直しには、まだまだテコ入れが必要になりそうだ。
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