為替は「北米に工場を造っても、ほとんど変わらない」 マツダ藤原副社長インタビュー(2):池田直渡「週刊モータージャーナル」(3/8 ページ)
マツダの戦略が分岐点にさしかかっている。今マツダに何が起きていて、それをマツダがどう捉え、どう対応していくつもりなのか? その全てを知る藤原副社長がマツダの今を語る。そのインタビューを可能な限りノーカットかつ連続でおとどけしよう。その第2回だ。
北米でビジネスを成功させない限りダメです
池田 北米マーケットについてはまだ一踏ん張り必要なんですね。ただ、今の北米マーケットの見通しを見ると、米中貿易戦争が、カタがつくのかなという気配を見せたもののなかなか最終確定しない。あれがまだ決着しないとすると、そろそろボディブローで米国経済に効き始めているじゃないですか。北米に力を入れつつあるマツダにとって、状況としてはより向かい風が強くなりかねない感じがするのですが?
藤原 あのアメリカっていう国は、例えばリーマンショックみたいなのがどーんときたとしても、2年後には必ず戻りますよ。ものすごい懐が深いです。だからアメリカが一時的にどうなろうと、北米でビジネスを成功させない限りダメだっていうのが、私たちの思っていることです。もちろん短期的にはどうなるかわかりませんけど。
池田 それが北米重視という理由ですね。
藤原 理由があるんですよ。
池田 そう考えるとちょっとヨーロッパは、中長期で分からないですもんね。
藤原 ヨーロッパの中長期は分からないですけど、われわれが一番つらいのは、ヨーロッパであれだけのネットワークを持ち、あれだけの人たちと一緒に仕事をしているので、「はい、やめます」って言えないんですよ。もう絶対に言えないんです。だから、必ずあの人たちとの商売を続けていかなくちゃいけない。ヨーロッパビジネスを捨てるわけにいかない(笑)。
池田 ただ、ドイツ銀行の倒れ方によっては……。その場合世界中のあらゆる産業がですけどね。
藤原 いや、あそこが倒れたら、多分大騒動です、すべてが。
池田 判明している負債だけで260兆円でしたっけ。日本の国家予算が100兆円、消費税1%が1兆円ですからね。
藤原 多分大変なことになります。だから、もうそうなったらみんなが落ちるので、そのときには最悪のことで、いろんなことを考えなくちゃいけないんでしょうけど、普通通りであれば、普通の上限であれば、今の通りにやるしかないって。
池田 ただヨーロッパでは、日本のメーカーとしてはシェア比率がかなり高くて、評価されているメーカーじゃないですか。それは今、第7世代が出たことを、どう受け止められているんですか、ヨーロッパマーケットでは。
藤原 いや、今は、まあ昨日(11月14日)も発表ありましたけど、CX-30がゴールデンステアリングホイール賞をもらいましたし、それからSKYACTIV-Xの比率も、もう6割。ちゃんと正しく受け入れられていると思います。
池田 実際この販売台数でもプラスですもんね。まあ全マーケットの中で唯一って言っちゃあれですけど。
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