為替は「北米に工場を造っても、ほとんど変わらない」 マツダ藤原副社長インタビュー(2):池田直渡「週刊モータージャーナル」(4/8 ページ)
マツダの戦略が分岐点にさしかかっている。今マツダに何が起きていて、それをマツダがどう捉え、どう対応していくつもりなのか? その全てを知る藤原副社長がマツダの今を語る。そのインタビューを可能な限りノーカットかつ連続でおとどけしよう。その第2回だ。
藤原 (笑)。いや、でも来年からきついです。来年からCO2規制(CAFE:企業平均燃費規制)が、課せられてきますので、そうすると、クレジット(実質的な罰金)がありますし、平均燃費を落とさないように売るクルマを絞っていかないといけないので。
池田 クレジットは全販売台数にかかるわけで、燃費が厳しいクルマを売ると罰金が加速度的に増えてしまうので、台数的にはちょっと泣くことになるわけですね。
藤原 台数的には泣きます。すこしでも平均値を下げるためにEV(電気自動車)を売らなくちゃいけないっていうふうになりますんで。ただ、EVって本当にお客さんが求めているかっていうと、クエスチョンマークがいっぱい頭に浮かぶので(笑)。
池田 それは極めて同意ですね。CAFE的にはEVを売りたいけれど、EVは原価が高くて利益が出ないですしね。
藤原 なので、EVをどうやってお客さまに選んでいただきながら、EVで平均を下げた分本当に利益の高いものを売っていくかという、この平均燃費と利益のバランスを取る、本当に難しい経営をしていかなくちゃいけない。
池田 藤原さん、他社の戦略について評価をいうと多分大変なことになるんで答えなくていいですけど、今、世の大手メディアは、フォルクスワーゲンが新たなEV(ID.3)を立ち上げたっていって大騒ぎで、「いや、さすが先進的だ」って話になってますけど、あれは、ものすごく危ない橋を渡ってますよね。シャシーがBEV(バッテリー電気自動車)専用になっている。バッテリーの価格低減が進めばいいですが、もしスケジュール的に思うようにいかないとき、レンジエクステンダーとか、ハイブリッドとかのコンポーネンツを収納するスペースがなさそうに見える。つまり未来像が決め打ちになってます。
そういう意味でいうと、私はマツダのxEV計画のほうが全然堅実だと思っています。時代がどう転がっても、あるいは地域によってインフラを含む事情に差があっても、それに合わせた複数のパワートレインにシステムアップできるように仕立ててありますよね? MX-30のようなBEVも作れるし、バッテリーの価格低減が進まなければ、ロータリーのレンジエクステンダーモデルを出したり、それをシリーズ・ハイブリッドに仕立てるのとプラグインハイブリッド(PHV)にするのでも2種類、変幻自在でいけるわけじゃないですか。ということで、その重要なxEV計画は、一応この資料を見る限り、順調とおっしゃっているのですが、順調にいくんですか。
藤原 順調にいってます。
池田 これって、年次はまだ発表されてないんですよね?
藤原 してないです。前の話に戻ると、インバーターとかのエンジニアが不足なんです。
池田 そんなこと言って大丈夫ですか。
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