為替は「北米に工場を造っても、ほとんど変わらない」 マツダ藤原副社長インタビュー(2):池田直渡「週刊モータージャーナル」(5/8 ページ)
マツダの戦略が分岐点にさしかかっている。今マツダに何が起きていて、それをマツダがどう捉え、どう対応していくつもりなのか? その全てを知る藤原副社長がマツダの今を語る。そのインタビューを可能な限りノーカットかつ連続でおとどけしよう。その第2回だ。
藤原 大丈夫、大丈夫。なので先ほど言ったように、そういう人たちがちゃんと最新技術を理解して開発できるようにしていかないと、後々ボディブローが効いてくる。そこはのろまなカメかもしれないですけど、あとで必ず取り戻せると思っているので、人材を育成しながら、少し時間はかかってますけど順調にやっています。
池田 数の話はともかくとして、MX-30にこの間、乗せていただきました(9月の記事参照)。まあ、あの時点ではMX-30ではないですけど、そのプロトですよね。乗せていただいた感じでいうと、EVマーケットは多分そんなに大きくないかもしれないけど、その中でマツダの独自性は十分打ち出せるものになると私は思っているんですが、そこは多分、自信ありますよね?
藤原 あります。これもう昨年の秋か何かの技術説明会のときに、言っているんですけど、誰も信用してくれなかっただけの話で(笑)。
池田 いや、あの時点ではまだ分からないですよ。マツダらしいクルマ作りますっておっしゃってただけで。
藤原 ちょっとヒントを言っていたんですよ。GVC(Gベクタリングコントロール)は入れますよって。
池田 分かっている人はGVCの技術がエンジンベースで出たときに、これ本来は絶対EV用だよなって思ったでしょう。ただ、EVに仕立てた時、あそこまで四輪がびたっと落ち着くものだとは、私も思ってませんでした。
藤原 あれはもともとデミオのEVがありまして、一時期、あれで開発していたんですよ。そのGVC、デミオEVで開発したものをエンジンのほうに持っていったので、その時点でやっている連中は、これですごいものができるとも思っているんですよね。なので、もうすぐに入れよう、すぐに入れようとか言って(笑)。
池田 EVの日がやってくるのを今か今かと待っていたわけですね。
藤原 そうそう、待ってたんですよ。だから、そういう意味じゃ、すごく自信がありますね、あれは。
池田 なので、私は、EVのマーケットの中で高い評価が受けられるだろうなと。ただ残念ながら、それは全体としては大きなパイかというと、多分小さなパイなので、販売の主力になるのはちょっと時間がかかる。そこを埋めるのはレンジエクステンダーとPHVだろうなと。それでもGVCが光るのは同じですからね。
藤原 だと思います。そこはそのとおりです。
関連記事
- CASEは「独自部分だけでも、クルマ1台分の開発費がかかってます」 マツダ藤原副社長インタビュー(1)
マツダの戦略が分岐点にさしかかっている。第2四半期決算の厳しい数字。第7世代の話題の中心でもあるラージプラットフォームの延期。今マツダに何が起きていて、それをマツダがどう捉え、どう対応していくつもりなのか? その全てを知る藤原副社長がマツダの今を語る。そのインタビューを可能な限りノーカット、かつ連続でお届けしよう。 - 藤原副社長、マツダが売れなくなったって本当ですか?
ここ最近のマツダには、聞いてみたいことがたくさんある。あれだけ出来の良いクルマを作りながら販売台数がなんで落ちるのか? MAZDA3とCX-30を批判している人は、まず乗ってみたのか聞きたい。あれに乗って、それでも高すぎると本当に思うのだろうか?全てを知り、なおかつ一番本当のことをズバリしゃべってくれそうな藤原清志副社長がインタビューに応じてくれることになったのである。第7世代は売れてないのか? を解説しつつ、真実を見ていく。 - 藤原副社長、ラージプラットフォーム投入が遅れる理由を教えてください
- 自動車を売るビジネスの本質 マツダの戦略
原理原則に戻ると自動車ビジネスもシンプルだ。商品とサービスに魅力があれば、新車を正価、つまり値引きせずに売れるから中古車の相場が上がり、その結果下取り価格が高いので、買い替え時により高いクルマが売れる。これが理想的サイクルだ。それを実現した例として、マツダの取り組みを歴史をひもといてみよう。 - マツダCX-30の発売と、SKYACTIV-X延期の真相
マツダ第7世代の2番バッター、CX-30が10月24日に国内発売となった。Mazda3のときもそうだが、このSKYACTIV-Xの遅れを、設計に問題があったとする記事をいくつか目にした。その真相を語ろう。そして、海外試乗時から大幅に改善されたCX-30について。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.