為替は「北米に工場を造っても、ほとんど変わらない」 マツダ藤原副社長インタビュー(2):池田直渡「週刊モータージャーナル」(6/8 ページ)
マツダの戦略が分岐点にさしかかっている。今マツダに何が起きていて、それをマツダがどう捉え、どう対応していくつもりなのか? その全てを知る藤原副社長がマツダの今を語る。そのインタビューを可能な限りノーカットかつ連続でおとどけしよう。その第2回だ。
池田 そして、今回の決算が厳しかった最大の原因は為替ですね。どう考えても為替です。
藤原 はい。
池田 で、これは厳しいことを申し上げますが、いろんなメーカーがある中で、日本での生産比率が大きいというのが、これだけ為替耐性が低い要因になっていると思うんです。そこを分かってらっしゃるんでメキシコ工場も立ち上げたし、今度トヨタと合弁のアラバマ工場もやられると思うんですが、これでどの程度改善されるかと。例えば今回の決算が、もし新工場が稼働していたら、どのぐらいよくなるんでしょうか?
藤原 はっきり言うと変わりません。
池田 変わらない?
藤原 はい。USドルの為替変動に対して、ウチはもう今はほとんどニュートラルなんです。どっちに動いても変わらない。ですから、北米に工場を造っても、ほとんど変わらないということです。だから、カナダドル、ユーロ、豪ドル、イギリスポンド、つまりUSドル以外のところの影響がむちゃくちゃ大きいんですよ。
池田 それはドルベースの売上と支払いのバランスが取れていると? それだけ北米で調達をやっているということですね?
藤原 だから、米国に工場を造っても、ほとんど変わらないです。だからこれ、為替のために造っているんじゃないんですよ、米国の工場は。「北米を大事にします、大事にします」と言いながら、米国に工場を持ってないんですね。ということは、販売店から見ると、「何言ってんだよ」ってなるんですよ。販売店オーナーから考えると「US大事だと言いながら、おまえら工場持ってねえじゃん」って反発に対して、やっぱり持とうと。もう一回、再参入しようという。で、「だからみんな落ち着け」と。おまえらリテールレボリューションしっかりやって、お店をきれいにしてくれという、お互いの覚悟の見せ方なんですね、ここ。なので、為替のためにあの工場を造っているわけじゃないんです。
池田 ちょっと想像外でした。
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