為替は「北米に工場を造っても、ほとんど変わらない」 マツダ藤原副社長インタビュー(2):池田直渡「週刊モータージャーナル」(7/8 ページ)
マツダの戦略が分岐点にさしかかっている。今マツダに何が起きていて、それをマツダがどう捉え、どう対応していくつもりなのか? その全てを知る藤原副社長がマツダの今を語る。そのインタビューを可能な限りノーカットかつ連続でおとどけしよう。その第2回だ。
われわれはここに投資する。だから、おまえらも投資しろ。一緒に成長していこう
藤原 はい。だから、あの工場では、北米のためのクルマを作れって言っています。ほかの地域向けのクルマは全部無視してもいい。完全に北米専用でもいいって作らしているので。ですから、それはもう米国の販売会社の方々のために、われわれはここに投資する。だから、おまえらも投資しろ。で、一緒に成長していこうというのが、あの北米工場の最大のミッションなんです。
池田 ものすごい覚悟ですね。
藤原 われわれは、一回北米から退出してますから、ミシガンから。もう一回ちゃんと正しく入ろうと、そういう意味です。だから為替でいうと、もう工場を作っても変わらないので、残りはユーロだ、豪ドルだっていうところなんです。しかしここは残念なことに、他の会社よりも(マツダは)ヨーロッパのシェアが高かったり、オーストラリアのシェアが高かったり、販売比率、利益率が高いんですよ。
オーストラリアでもシェア10%で1、2位を争っている販売なんです。そうするとオーストラリアドルの影響がすごくある。ただ、もう世界中の自動車メーカーはオーストラリア生産から撤退しましたから、みんな同条件のはずなんですね。なにかオーストラリアから豪ドルで調達できるものがあればいいんですけど、ないんですよ、自動車部品が。だからそこがものすごく苦しい。ユーロも同じで、われわれは欧州に工場を持っていないので、残念ながら手を打ちようがないんです。
欧州には部品がたくさんあります。優秀な部品メーカーがたくさんあるので、そこから部品を買えばいいんですけど、悪いことに、彼らは全部中国に工場を持ち始めてて、中国から買えっていうわけですよ。中国から買うとドルベースになるんです。ユーロベースにならない。そうすると、結局ドルの買い物しか増えない。
池田 かといって元で買えないですもんね(笑)。
藤原 元では買えない(笑)。
藤原 ですから、どんどんドルでの調達は増えているので、ドル円の動きに対しては、もうほとんどニュートラルになっているという状況なんですよね。
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