為替は「北米に工場を造っても、ほとんど変わらない」 マツダ藤原副社長インタビュー(2):池田直渡「週刊モータージャーナル」(8/8 ページ)
マツダの戦略が分岐点にさしかかっている。今マツダに何が起きていて、それをマツダがどう捉え、どう対応していくつもりなのか? その全てを知る藤原副社長がマツダの今を語る。そのインタビューを可能な限りノーカットかつ連続でおとどけしよう。その第2回だ。
池田 オーストラリアは、サプライヤーもほぼ撤退済みなんですよね?
藤原 もうほとんどいないですね、今は。
池田 豪ドルに対しては、もう打つ手が正直ない。
藤原 そうですね。だから、みんなで集まって鉱石でも買うかという話も出ましたね(笑)。いや、本当に。
池田 ボーキサイトが出ますね(笑)。
藤原 (笑)。そうそう。地面から出てくるもんしかないんです、基本的には。それが中国と連携しているので、中国経済が落ちていくと、あそこも経済が落ちていくとか、何かもう複雑な。
池田 ただ、中国とオーストラリア、ちょっと切れ始めましたよね。ミシガンの工場の撤退の話って、私、全然その時期のことを知らないんですけど、簡単にご説明していただいてもいいですか、そのときの状況。
藤原 もともとフォードと一緒にMMUCという工場をミシガンに造って、そこからフォードと一緒になってAAIという工場になって、残念ながらずっと利益が出ず、最終的には撤退ということです。
池田 何年ぐらい稼働してたんですか。
藤原 30年近くやりました。ただ、われわれはMAZDA6系を作り続け、彼らもMAZDA6をベースにしたプローブを作ってたので、どちらにしてもあの辺はスペシャリティカーなので、派手にぶわーっと売れて、あとどーんと落ちるという状態の……。
池田 稼働させるにはしんどいですね。
藤原 フォードにとっては、しんどいからこそジョイントで工場を造らせたんですけど、共同で運用しようとすると、どーんといって、どーんと落ちるやつを、われわれのセダンとかクーペとかで、埋められるかといったら、なかなか埋められない。うまく稼働しなかったんですね。しかもフォードですから、UAW(全米自動車労働組合:米国最強の労働組合)の難しい状態もあって。
池田 ああ……。もう聞いただけで、それはもう何か……。
藤原 (笑)
明日公開の(3)に続く
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