ラージの遅れは「7世代の技術を現行世代に入れる。もうそれをするしかない」 藤原副社長インタビュー(3):池田直渡「週刊モータージャーナル」(5/6 ページ)
マツダの戦略が分岐点にさしかかっている。第2四半期決算の厳しい数字。第7世代の話題の中心でもあるラージプラットフォームの延期。今マツダに何が起きていて、それをマツダがどう捉え、どう対応していくつもりなのか? その全てを知る藤原清志副社長がマツダの今を語る。そのインタビューを可能な限りノーカット、かつ連続でお届けしよう。
池田 ただ、あのオーディオを最終的に仕上げた人って、すごいと思うんですよ。スピーカーの位置とマウントという基礎的な素養の高さはもちろんなんですけど、定位と広がりって相反するところがあるじゃないですか。その両方をちゃんと両立させているんですよね、うまい具合に。あれのさじ加減をやった人は、すごいですね。
藤原 あれはすごいですよ。そうはいいながら、それを引き出すためにベースを上げているからできるんです。
池田 それは、そのとおりですね。
藤原 本当は前世代からやりたかったんですけど、ドアのスピーカーでやると、それが出せないんですよ、ビビるんで。
池田 エンクロージャーを使うと良いのは確かですが、あの位置に入るエンクロージャーのキャパシティって知れているじゃないですか。小さいエンクロージャーでスピーカー動かしたら、空気がバネになって邪魔をするから、当然今度はアンプのパワーがいるわけですよね。そうじゃないと。
藤原 動かないです。
池田 それも全部やったわけですよね。だから、単価の高い部品は使っていないですけど、手間の掛かり具合というか、やっていることはプレミアムオーディオですよね。丸本社長は「何でお金取らないんだ」と怒ったそうですけど。
藤原 標準オーディオができあがったときに、BOSEはプレミアムオーディオはどうやってやるんだろうって、これを超えるもん持ってこれるんかって思ったくらいですから。
池田 いや、だから聞き比べると、ちょっとBOSEかわいそうです。もうBOSEに50万ぐらいあげないと。プレミアムっていっても8万いくらのオプションでしょ? 50万ですごいのやれっていったらできると思うんですよ。あそこから先はちょっとやそっとの予算では音は良くならないから。
藤原 開発期間も含めて、限界があったんです。
池田 藤原さん、オーディオに関して1つだけ、あのオーディオの売り方の面白いアイディアをこの間聞いてきたんですよ。MAZDA3を借りた時、オーディオの専門家に聞いてもらったんですよ。そしたら、これ素晴らしいけど、これを文章で一生懸命書いても、普通の人には伝わりませんよねと。だったら、中でガンガンに音量上げといて、ドア、バンと閉めたら、外に音漏れしないでしょう? って。
藤原 しないです。
池田 音漏れしないってかっこいいじゃないですか。「音漏れかっこ悪い」って言っちゃったほうがいいですよって彼は言うんですよ。
藤原 なるほど、確かに。
池田 それはショールームですぐ再現できて、誰にでもすぐに分かる。
藤原 ありがとうございます。使います。これ確実ですから。本当に音漏れしないんで。いや、本当に感じます。今のやつはもう音漏れバンバン(笑)。
池田 それはしょうがない。だってドアの鉄板の裏側にスピーカーがあるんですから。
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