株取引、手数料無料化の波 auカブコム、マネックスが信用取引無料に
株式の取引手数料無料化の波が急速にやってきている。先駆けとなったのは、米国証券大手のチャールズ・シュワブが10月1日に手数料撤廃を発表したことだ。SBIホールディングスは10月30日の決算発表にて、傘下の証券会社の取引手数料を今後3年でゼロにする構想を打ち出した。株式の取引にコストがかからない世界は、急速に近づいてきている。
株式の取引手数料無料化の波が急速にやってきている。先駆けとなったのは、米国証券大手のチャールズ・シュワブが10月1日に手数料撤廃を発表したことだ。SBIホールディングスは10月30日の決算発表にて、傘下の証券会社の取引手数料を今後3年でゼロにする構想を打ち出した。株式の取引にコストがかからない世界は、急速に近づいてきている。
auカブコム証券は、12月2日に信用取引の手数料撤廃を発表。SBIに先駆けて、12月16日から無料化する。これは大手ネット証券5社で初となる。さらに、マネックス証券は12月3日、12月9日からETF、REITなどの信用取引の手数料を全額キャッシュバックすると発表した。
【訂正:マネックス証券の信用取引無償化対象が誤解を招く表現でした。訂正し、追記します】
auカブコム証券は、現引、現渡については別途事務手続き料
信用取引は、現金などを担保として、約3.3倍の額の株式の売買が可能な取引だ。購入や売却の手数料が無料になっても、取引中は日数に応じて貸株料や金利といった手数料がかかる。また、信用取引で買った株の代金を支払うことで、現物株にすることを「現引(品受)」という。多くの証券会社では、この手数料は無料だ。つまり現引を行うと、信用取引手数料と金利分だけで現物株を購入したのと同じことになる。
そのため信用取引手数料の無料化は、実質的に現物株の取引手数料を大きく下げることになるが、auカブコム証券では現引、現渡については別途事務手続き料がかかるとしており、料金などの詳細は12月9日を目処を公開するとしている。
なお、ネット証券以外でも、日興証券はオンラインでの信用取引の手数料を2011年から無料としている。
投資信託においては、松井証券が12月9日から購入手数料をすべて無料にすると発表している。マネックス証券も2020年1月6日からすべての購入手数料をキャッシュバックする。すでにノーロード型と呼ばれる購入手数料無料の投資信託が主流となっているが、それ以外についても証券会社側で費用を負担することで、無料化が加速しそうだ。
楽天証券の大嶋広康IFA事業部長は、11月のカンファレンスで「手数料圧縮の流れは11年から始まっている。手数料はやがてゼロになる」と述べており、株式や投資信託の売買に伴う手数料が、証券事業の付加価値にならなくなってきていることは、業界の共通認識となりつつある。
ネット証券大手5社のうち、3社がさまざまな無料化を進めてきており、残る楽天証券とSBI証券の動きが注目される。
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