ゴンチャ新社長の原田氏がタピオカブーム“最後の希望”の理由:新連載・古田拓也「今更聞けないお金とビジネス」(2/3 ページ)
SNSで大きな話題を呼んだのが、国内大手タピオカ飲料店の「ゴンチャジャパン」社長人事だ。同社は12月1日付で原田泳幸氏を新たな社長に任命した。冷たい飲み物というイメージが強いタピオカの「冬越え」問題や、大手カフェチェーンなどのタピオカ参入という競争激化も業界全体の課題になりつつある。
タピオカ人気の“頭打ち“の就任
現に、「タピオカ」の人気度はすでにピークアウトを示唆している。図は、タピオカ関連銘柄として値上がりした神戸物産の株価とGoogleにおける「タピオカ」キーワード検索量を比較したグラフだ。
神戸物産の株価は一時的に押し目をつけたものの、再び最高値を更新した。これは本決算期待もある。神戸物産は12月13日に本決算の発表を予定している。会社予想は増収増益で、期待が先行しているかたちだ。
一方で、グーグルの「タピオカ」検索回数が、夏のピーク時と比較して半分以下に落ち込んでいるのが気掛かりだ。仮にこの冬にタピオカ目当ての顧客が減少していたとしても、その影響が明らかになるのは、20年3月頃に発表される第一四半期決算のタイミングとなるだろう。
他にも、冷たい飲み物というイメージが強いタピオカの「冬越え」問題や、大手カフェチェーンなどのタピオカ参入という競争激化も業界全体の課題になりつつある。
そのようなタイミングで原田氏の社長就任が重なった。ベネッセのジンクスと同じく、「就任そのものがタピオカブームの終わりを決定的にするのでは」と懸念する声が一部であがっているのはそんな理由だ。
それでは、本当に原田氏はタピオカブームを終わらせる存在となるのだろうか。
問題があるときに起用される「プロ経営者」
「プロ経営者」には明確な定義がないものの、一般的には多くの企業を渡り歩く経営者を指す。プロ経営者は、米国では一般的な経営者像で、日本で多数を占める創業家の同族社長や、会社で出世したサラリーマン社長と対比されることが多い。
そして同族社長やサラリーマン社長がプロ経営者に経営の座を譲るのは、おおよそ似たタイミングである。それは、同族社長やサラリーマン社長が経営に行き詰まりを感じたり、改革がうまくいかなかったりしたときだ。会社に問題があるときこそ、会社にしがらみがないプロ経営者による改革が求められる。
KDDIや京セラの創業者である稲盛和夫氏のように、2010年からわずか2年でJALを劇的に再建させたプロ経営者の成功例もある。しかし、プロ経営者としてのキャリアを成功事例のみで終わらせられる例は非常に少ない。なぜならプロ経営者は、これまでの経営者が解決できなかった課題に取り組みながら事業を成長させるという、本質的に失敗リスクが高い職業だからだ。
カルビーやジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人の業績を大幅に伸ばしたプロ経営者の松本晃氏は、RIZAPのCOO(最高執行責任者)として同社の経営再建を目指したが、積極買収した子会社の整理メドがたたず、わずか半年で退任となった。問題があるときにプロ経営者は起用されるが、問題の在り方によっては実力が発揮できないことも多いのだ。
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