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なぜ今、証券業界で手数料無料化が進むのか?(4/4 ページ)
証券業界の売買手数料無料化の流れが加速している。米証券大手のチャールズ・シュワブは10月1日に手数料撤廃を発表。国内でもSBIホールディングスは10月30日の決算発表にて、傘下の証券会社の取引手数料を今後3年でゼロにする構想を打ち出した。
生き残れる証券会社は数社か?
証券業界は今、もうからない業界への道を進んでいる。「米国のように、利潤の下落に耐え得るサイズの企業が多ければ大丈夫だが、新しい収益の柱となる分野がないのに手数料ゼロ化が進むと、単にもうからなくなっていく」と大原氏。
消費者にとっても、証券会社の利益が失われていくことで、サービスの向上に歯止めがかかったり、取り得る選択肢がなくなっていくことは長期的に見るとデメリットだ。401kやiDeCo、NISAなどの優遇税制制度も、証券会社から見ると対応にコストがかかる割には利益につながりにくい。「新しく検討されているNISAの制度も、証券会社が疲弊すると、いい制度を作っても対応してこなくなるかもしれない」(大原氏)
そんな中、証券業界でも「何をやらないか」が必要な戦略になっていくと大原氏。例えば、証券会社の中でも、アドバイス業務を中心にIFA化するところもあるし、そうしたIFAにブローカレッジのプラットフォームを提供するところも出てくる。
「自助による資産形成・運用の必要性が高まる中、アドバイスサービスビジネスの成長可能性は大きく、事業構造改革を成し遂げられた金融機関にはチャンスがある」(大原氏)
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