ワタミはもう、「ブラック企業」には戻らない そう考えるこれだけの理由:10月に創業者が経営陣に復帰(2/2 ページ)
創業者である渡邉美樹氏が10月1日、ワタミに復帰。復帰会見では離職率の低下など、「ホワイト企業化」が宣言された。「ブラック企業」と批判され続けてきたワタミだが、本当に環境はよくなったのか。ブラック企業アナリストの新田龍氏が3回にわたり、ワタミの過去を振り返るとともに現状を検証する。
渡邉美樹氏の復帰によってワタミはブラック体質に戻るのか?
2013年から約6年間にわたってワタミの経営からしりぞいていた創業者の渡邉美樹が19年10月から代表取締役に復帰した。同社の労働環境改善は渡邉が不在中のことであり、世間からは「またブラック企業に逆戻りするのでは」などとうわさされているようだ。
しかし、筆者は復帰がリスクになるとは考えていない。既にこれまでのホワイト化路線で成果が出ており、業績も回復していることから、あえてブラックにする必然性がないためだ。そもそも今回の復帰自体も渡邉本人の意向ではなく、政界引退発表以降、他の外食企業から渡邉に顧問オファーが殺到したこともあり、ワタミ側から「他社に行かれると脅威になるので、ぜひ当社に」と依頼したことによるものだ。
実際、企業が働き方改革を実践するにも、そしてホワイト企業であり続けるためにも利益が必要だ。渡邉不在の期間、ワタミの経営陣は渡邉が立ち上げた事業を維持するだけで精一杯の状況であり、新たな事業は何も立ち上げることはできなかった。
一方で渡邉は復帰直後から、東日本大震災の被災地で新たな農業観光施設開設を打ち出すとともに、今後の為替動向を見込んで国産食材の輸出ビジネスなどにも進出していくなどの方針を明らかにしている。ホワイトな労働環境を維持しながら、ワタミをさらに成長路線に乗せることができるか、渡邉の腕の見せ所といえよう。
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