「VRでパワハラ体験」 ハラスメント未経験の記者が体験してみた 上司、部下双方から体験可能:意外と気になるのが「距離感」(1/3 ページ)
一部の研修で広まっているVRでのハラスメント体験。ハラスメントを体験したことのない記者が体験してみた。これまでの研修にはないような受講者の「自分事化」を生み出せるのだという。体験してみて意外と気になったのが距離感だった。
セクハラに始まりパワハラ、マタハラ、さらにはパタハラと職場で起こりうるハラスメントは多岐にわたる。これらのハラスメントで難しいのが、「アウト」となる境界線だ。言動は人それぞれによって受け止め方が異なるため、一概に線引きすることが難しい。
厚生労働省「職場のパワーハラスメントに関する実態調査報告書」によると、2016年時点でパワハラ予防策を講じている企業が「最も効果を実感できた」と回答している取り組みは「管理職を対象にパワーハラスメントについての講演や研修会を実施した」。何らかのハラスメント対策を行っている企業のうち、74.2%が回答した。しかし、研修といえば忙しい業務の合間を縫っておざなりに話を聞いて、身にならないで終わってしまうことも多々ある。中には居眠りしたりスマートフォンをいじっていたりする人も散見する。
そんな中「百聞は一見に如かず」と研修用にVRでハラスメントを体験できるコンテンツを提供する企業が現れた。提供する企業は、VRコンテンツを数多く制作するジョリーグッド(東京都中央区)。セクハラおろかパワハラも体験したことのない記者が、実際に体験してみた。
ハラスメント度「100%」から体験
ジョリーグッドが提供するサービスは「Yourside」。同じシチュエーションを上司側と部下側の双方から体験できる。コンテンツはハラスメントの「NG度」ごとに何パターンかを用意している。まずは「100%」から体験した。
VRゴーグルを装着すると、舞台はバーのような店舗。自分は若手女性社員として、上司や同僚と思しきメンバーと同席している。横に座った上司は、お酌を強要したり、ベタベタとボディータッチしてきたり、部下のスマホを勝手にのぞいたり――。「さすがにこれはダメだろう」と感じる言動を次々に繰り出してくる。また、少しこちらに身を寄せてくるだけで存在感がすさまじい。特に「顔の近さ」は強烈に感じて気持ち悪さを覚えるほどだった。
担当者によると、実際の研修ではまず明らかに「アウト」だと分かるようなコンテンツを体験してもらうのだという。「こんなこと、今どきないよ」と笑いを起こして研修に対する積極性を高める狙いがある。そして徐々にハラスメントなのかどうかあいまいなケースを体験していく。どこがハラスメントに該当するのか、それともセーフなのかを毎回議論することで、受講者は理解を深めていく。
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