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「VRでパワハラ体験」 ハラスメント未経験の記者が体験してみた 上司、部下双方から体験可能意外と気になるのが「距離感」(2/3 ページ)

一部の研修で広まっているVRでのハラスメント体験。ハラスメントを体験したことのない記者が体験してみた。これまでの研修にはないような受講者の「自分事化」を生み出せるのだという。体験してみて意外と気になったのが距離感だった。

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従来の研修が抱える問題点

 担当者は「従来の研修で用意するテキストや図版では受け手側のイメージが十人十色。1つの資料に対して、受け止め方や熱量に違いが生まれてしまう」と話す。一方、VRで体験する動画であれば、全員が全く同じものを体験することになる。

 さらに「(VR内で)話しかけられると、無視できないような感覚になる」と担当者が話すように疑似的に「1on1」の形になる。否が応でもそのシチュエーションに身を置くことになるので、これまでの研修でありがちな講師が熱心でも受講者が上の空、といったことにもならない。

 実際に行っているハラスメント研修でも、受講者側が「自分には関係ない」と考えることがありがちなのだという。しかしある意味で「強制的」に集中させるVRコンテンツでは、否が応でも体験せざるを得ない。そしてそこから、研修そのものへのモチベーションにもつながっていく。「あくまでVRコンテンツは研修の補助線。『これって大丈夫じゃないの?』『さすがにここまで激しいことはしていないけど、ちょっと思い当たる節はあるなあ』といった議論を呼ぶことが目的」と話す。

ハラスメント度「50%」は……

 次に、ハラスメント度50%のコンテンツも体験した。会議室のようなスペースで、上司と部下が隣り合わせとなってプレゼン資料を添削しているシーンだ。記者はまず、上司サイドを体験した。部下の資料のよくないところを指摘しながら、どう改善するべきかを伝えていく。ボディータッチや怒鳴り散らすこともなく、あからさまにアウト、と言い切れるような点はないように感じる。

 その後、部下側のコンテンツを体験。上司が部屋に入ってきて、一直線に近づいて横に座ってくる。上司側のコンテンツとは違い、こちらでは心の中で部下が感じていることが音声として聞こえてくる。「何で横に座ってくるんだろう……」と聞こえると、上司目線では特に何も感じなかったが「確かに、前の席も空いているのにな」と思えてくる。他にも、やけに顔が近く感じるなどの不快感を覚えた。上司側からのときには身の入った「熱心な指導」と思えるものでも、部下からはこう受け止められるのかと身をもって感じられた。


「熱の入った指導」も部下によってはNGか(画像提供:ジョリーグッド)

 この他、上司が部下を飲み会に誘うケースや、上司がオールドスタイルの“営業観”を部下に説くケースなどを用意しているという。これらのコンテンツは心療内科医、産業医の石澤哲郎氏監修の下、制作した。共感を生み、ハラスメントを自分事として捉えやすいよう、相談が多いケースを中心に選んだという。

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