なぜ「ビーフン」に成長の余地があるのか 最大手「ケンミン食品」が狙う空白市場:長浜淳之介のトレンドアンテナ(1/5 ページ)
ビーフン最大手のケンミン食品。2016年には年間約1000万食だった売り上げは、17年以降は約1500万食へと1.5倍に増えた。どのような成長戦略を描いているのか。
ビーフン最大手のケンミン食品(神戸市)が攻勢を強めている。
同社の製品は、日本で流通するビーフン市場のおよそ6割の市場シェアを占める、ビーフン界のガリバーだ(出典:日本税関2018年ビーフン輸入量)。主力の「ケンミン焼ビーフン」シリーズは、2020年に発売60周年を迎えるロングセラーだ。しかも、16年には年間約1000万食だった売り上げは、17年以降は約1500万食へと1.5倍に増えた。
これをきっかけに、今まで弱かった東日本への認知と拡販を進め、現状の年商85億円(19年2月期)を、目標100億円に引き上げている。
「秘密のケンミンSHOW」で大反響
近年の売り上げ急上昇の要因は、17年6月に放映された日本テレビ系「秘密のケンミンSHOW」で特集されたためだ。番組スタッフは、ひそかにケンミンの焼ビーフンに対し、他人事とは思えぬシンパシーを抱いていたようで、同年の秋に番組10周年を迎える記念として、取材を敢行した。
番組をきっかけに焼ビーフンを初めて食べた人の多くが、リピーターとなって定着してきている。
また、スーパーなどの弁当・惣菜コーナーで、「ケンミンのビーフン使用」を明記したシールを貼る動きが広がっていて、「いなげや」「イオンスタイル」「まいばすけっと」「イトーヨーカドー」といった店舗で見かけるようになった。
「シールがあると売れ行きが違う」と、ケンミン食品東京支店・堂本輝明支店長は、ケンミンのビーフン使用による販売促進効果に自信を見せている。
もう1つ好調な理由がある。ビーフンは米からつくる麺なので、小麦からつくるラーメンなどの麺に含まれるアレルゲン、グルテンの成分を有していない。つまり、近年増加しているとされる小麦アレルギーの人でも安心して食べられる、グルテンフリー食品である。欧米でも人気が高まるグルテンフリーのトレンドは、ビーフンにとって追い風。ケンミン食品では輸出にも大きな将来性があると、期待を膨らませている。
このようにケンミンのビーフンが長寿商品として愛されている。しかも、ビジネスチャンスが広がろうとしている。商品力の高さの秘密を探ってみた。
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