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売れるに決まっているダイハツ・ロッキーとトヨタ・ライズ池田直渡「週刊モータージャーナル」(3/8 ページ)

一瞥(いちべつ)したときから「これは間違いなく売れる」と思ったが、案の定その通りで、正味1カ月に満たない11月の車名別販売記録で、堂々4位の7484台(一般社団法人日本自動車販売協会連合会調べ)。しかも受注だけで見れば、発売後1カ月の12月4日時点でなんと驚きの3万2000台(トヨタ自動車発表)。全盛期のプリウス並みの売れ方である。

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 機構の狙いは、高速巡航時のエンジン回転数の低減と、CVTの伝達効率の改善だ。CVTは2つのプーリーが隣接する関係で径の拡大に限界がある。だから最小ギヤ比と最大ギヤ比の比率(レシオカバレージ)が大きくできないのが構造的問題だった。そこに遊星ギヤを使うことでレシオカバレッジを拡大できる。

 もう1つは、プーリーの巻き掛け径が小さい領域、つまりV字になった谷の底の方を使うときは、ベルトの曲がりがキツくなって効率が落ち、耐久性面でもマイナスだ。こういうシチュエーションでトルクを平歯車側に流してやることで、プーリーがベルトを挟み込む油圧を下げ、効率を上げることができる。

 つまり低速域の加速時はレシオが自由に変えられるCVTのうま味を使い、高速時などには機構が単純で損失が少ない平歯車を使う。その間に自動的に両経路を併用して、最も効率良くトルクを伝える領域があるという寸法だ。この機構を考えた人はちょっと天才かもしれない。

 さて、4WDは前後のデフの間に置かれるセンターデフを電制多板クラッチを用いて制御してやる方式で、リヤへのトルク伝達を0から50%まで可変制御できる。


ロッキー/ライズに搭載されるのは中央のトルクコントロールAWD

 ボディデザインのみならず、機構的にもSUVらしい凝ったシステムが使われているといえる。リヤサスはこのクラスで標準的なトーションビームアクスルなので、いわゆるクロカン4WDと同じことができるわけではないが、このクラスのシステムとしてはかなり走破性が高いはずである。

 人がきちんと乗れて、荷物が積めて、車両感覚がつかみやすい。その上でSUVとして興味深いシステムを搭載している。商品性の高さに疑いの余地はない。

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